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探究動機

「20世紀は石油をめぐる紛争の時代であった。このままの状態が続くと、21世紀には我々は水をめぐって争うことになるだろう。」

この言葉は世界銀行元副総裁のイスマイル・セラゲルティンが、1995年に述べた言葉です。当時から世界の水不足が危惧されていました。

WHO(世界保健機関)のデータ(2017年)によると世界人口75億人のうち21億人は、必要な時に自宅で、汚染されていない飲み水を使用することができていません。
そのうち8億4,400万人は、自宅から往復30分以内に、汚染されていない水源をもっていないのが現状です。

一方、日本では、水道をひねれば簡単に安全な水を手にいれることができます。一年を通して降水があるため、水不足への危機感は薄く、水問題への意識も高いとはいえません。おまけに、日本はバーチャルウォーターの輸入量は約640億㎥/年(*1)にのぼり、世界の中でもバーチャルウォーターの輸入量が多い国の一つです。

探究活動を始めた当初、私たちは、
「日本のバーチャルウォーターの輸入量を減らすことができれば、現在水不足となっている地域に水が行き届くようになるのではないか」と仮説を立てました。

ところが、調べていくうちに、問題はそれほど単純でないことがわかってきました。世界の水問題をめぐる因果関係はどのようになっているのでしょうか。どうすれば、世界の水問題を解決し、世界の全ての人々が安全な水を確保することができるのでしょうか。

私たちと一緒に、水不足が起きる原因を知り、バーチャルウォーターだけでなく、自然条件や経済的条件など複数の観点から水問題を考察し、問題の解決に向けて、日本に住む私たちに何ができるのか考え、行動に移していきましょう。

*1:環境省_virtual water ホームページ 2000年のデータ