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ライトレール

導入の背景

1960年代、車社会の進行に伴って道路、特に都市部の道路では大量の車であふれかえり、幹線道路における渋滞が頻発しました。それまで東京を含む国内の多くの都市では路面電車網が発達していましたが、このような時代になると路面電車は道路をふさぐ邪魔者の扱いがなされ、結果1960~70年代にかけて各地の路面電車は次々に廃止の憂き目に遭いました。路面電車なき後、代替として地下に鉄道を通す「地下鉄」方式の路線が多く開業し、結果現在においては全国9都市44路線749kmにわたる広大な地下鉄路線網が形成されています。

地下鉄の問題としてはトンネル工事などの設計費や特殊な設備のメンテナンス費が一般的な鉄道よりもかさんでしまうことにより、特に地方公共団体が管理している路線では運賃が割高になってしまう傾向にあることが挙げられます。

例として、神奈川県横浜市の運営する横浜市営地下鉄の初乗り運賃210円を挙げます。近辺の鉄道会社と比較すると、東京急行電鉄、小田急電鉄の初乗り運賃が130円、JR東日本の初乗り運賃が140円、相模鉄道の初乗り運賃が150円であるなどおおむね130~160円の範囲内にあり、横浜市営地下鉄の210円という初乗り運賃の設定はどうしても割高な感が否めません。そこで、地下鉄よりも建設コストや整備コストが抑えられ、運賃などの抑制にもつながる乗り物が近年模索されており、その一つとしてかつて目の敵にされて姿を消した路面電車が挙げられています。路面電車の中でも、特に注目されているのが「LRT」という新しい方式の路面電車です。

LRT(ライトレール)とは

LRT(ライトレール)は1972年に米国で誕生した「軽量軌道交通システム」という概念であり、低コストかつ輸送力の増強を実現することによって都市交通の利便性の向上を図ることが特徴です。「ライトレール」「LRT」という表記は日本と米国のみで使われており、ヨーロッパ諸国では「トラム」という呼び方が広く浸透しています。
LRTは誰でも容易に利用できる「都市の交通システム」とされ、地下鉄のような高コストな建設を避け、従来の鉄道や地下鉄よりも小さい輸送力で運行し、かつ専用軌道を作ることで道路交通に影響しない及び影響されないよう運行できるという特徴を持っています。日本では一般的に低床車両を導入し床の高さを下げ、ステップを排除し、身体障がい者やお年寄りの利用に配慮した設計の車両)で運行される路面電車のことをLRTと呼んでいますが、海外においては定義が異なり、専用軌道上を走る路面電車がLRTと呼ばれます。イギリスのライトレール交通協会(LRTA)における分類によれば、日本では江ノ島電鉄、広島電鉄宮島線、筑豊電気鉄道、京福電気鉄道、東急世田谷線、阪堺電気軌道の6路線がLRTとして分類されています。日本初の本格LRTとして知られる富山ライトレールは既存路線のLRT化の成功例として知られています。旧JR富山港線の線路を路面電車用に改造、低床式の新型車両を導入し、駅の新設もしくは既存の駅設備をバリアフリー対応に改造することで既存の路線を路面電車化し、結果として営業の効率化に成功しました。現在ライトレール化の候補地に挙がっているのは岡山県津山地区栃木県宇都宮地区が挙げられます。津山地区では利用客減で赤字がかさむJR津山線を路面電車に変更すること、宇都宮地区では深刻な渋滞により路線バスの定時運行が困難になってしまったことから代替手段としてLRTを新設し、定時運行の実現運行頻度の増加を目指すことがそれぞれ計画されています。

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