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トップ>実例>富士急行(山梨県)

富士急行 ― 路線データ

富士急行線山梨県大月市大月駅富士吉田市富士山駅間、および富士山駅山梨県都留郡河口湖駅を結ぶ路線です。

乗車レポート

大月駅より富士山駅まで乗車しました。車両はJR東日本の山手線や京葉線などで活躍していた205系電車で、観光列車「ななつ星」などを手掛けたことで有名な水戸岡鋭治氏によるリニューアルが行われており、木目を基調とした内装となっていました。路線は山の中をかき分けつつ時折街並みや道路が顔を見せる、アップダウンの多い路線でした。沿線には河口湖や富士急ハイランド、更には富士山といった有名な観光地が多く、それらの観光地へのアクセスにこの路線を利用している乗客が多いような印象を受けました。

考察

運行形態

平日は朝夕ラッシュ時に毎時5本・日中毎時3~4本・閑散時間帯毎時2本が、休日は毎時2~3本・観光ピーク時間帯は毎時6~7本(有料特急列車は除く)が運転されています。これは地方鉄道にしては非常に多い運行本数であると言えます。特に、平日朝夕ラッシュ時や休日観光ピーク時間帯では首都圏の路線と比べても遜色の無い本数の列車が運行されている事が特筆に価します。このような列車本数の多さは観光客輸送を考慮しているためであると考えられますが、それによって結果的に地元利用者にとっても鉄道を利用しやすい環境が構築されています。よって、「観光化」施策には地元利用者の利便性向上という副産物も存在していると考えられます。

車両

普通電車では国鉄205系(山手・総武・京葉・阪和・仙石線など、全国各地で使用実績あり)を譲渡した6000系、京王帝都5000系(京王線で活躍していた)を譲渡した1000・1200系、それに自社が独自発注した5000系が使用されています。このうち6000系については水戸岡鋭治氏によるリニューアルが行われており、1000・1200系では京王線時代を再現したリバイバル車両や特別仕様車「富士登山電車」、5000系はカラーリングをトーマスカラーとした「トーマスランド号」が走るなど、豊かなバリエーションの布陣となっています。また、有料特急列車「フジサン特急」「富士山ビュー特急」には元小田急ロマンスカーで活躍していた車両が投入されています。

富士登山電車
左が「フジサン特急」

特筆すべき取り組み

多種多様な車両

先述の通り、富士急行は多種多様な車両を運行しています。これは車両種類の増加による整備コストの上昇のデメリットを考えるとあまり好ましいとは言えませんが、富士急行では車両それぞれに愛称や特別装飾を施し、個性を持たせることでその豊富なバリエーション自体に観光的付加価値を付け、かつデメリットをカバーしていると考えられます。

遊園地経営

鉄道沿線に自社の遊園地「富士急ハイランド」を持ち、自社線に最寄り駅として「富士急ハイランド駅」を持っています。遊園地には、優れた新アトラクションを積極的に導入するなどして積極的に投資を行っています。遊園地へのアクセスは自社鉄道路線ばかりではなく、自社で高速バスを都心などから運行するなどしており、複数のルートで遊びに行けるようにして様々なニーズに応えられるようにし、増収につなげようとしている様子が見て取れました。

JR線への直通

JR中央線を経由し、新宿東京といった都心の大規模な駅まで直通運転を行う列車が主に休日に数多く運行されています。普通電車から快速電車、更には一部特急電車等も直通しており、都心から乗り換えなしでスムーズにアクセスすることが可能になっています。都心とのアクセスを充実させることで、観光客誘致につなげようとしている施策であると考えました。

考察・感想

運行車両の観光資源化や都心直通、遊園地経営など、富士急行は沿線の豊富な観光資源をフルに生かした徹底した観光化によって成功している、まさに観光ありきの鉄道であると考えました。
また、観光化によって列車が1時間2~5本ほどの間隔で運行され、沿線住民の利用者にとっても利便性が高い路線となっており、観光化の副産物として地方交通の利便性向上が起こっていることが見てとれました。

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