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トップ>実例>いすみ鉄道(千葉県)

路線データ ― いすみ鉄道

1988年に廃止された国鉄木原線を引きついだ第三セクター路線です。小湊鉄道が乗り入れる上総中野駅千葉県夷隅郡)からJR外房線が乗り入れる大原駅千葉県いすみ市)までの全長26.8km全14駅を結びます。

乗車レポート

始発駅の上総中野駅より終着駅の大原駅まで乗車しました。乗車した車両はいすみ350型で、2014年製造ながら国鉄の旧型気動車を意識したデザインとなっているのが特徴的です。列車は山間を抜けつつ、大多喜駅に到着。大多喜駅には車庫があり、多くの車両が休んでました。大多喜駅で列車の接続待ちがあり、向こう側からは古そうな2両編成の列車がやってきました。列車は旧国鉄のキハ52・58型を購入したもので、いずれも1960年代製造の古参車です。休日には有料の観光急行列車や、レストラン列車などで使用されています。

大多喜駅を出ると、列車は田園地帯を走行し、数駅ののち国吉駅に到着しました。国吉駅も行き違い設備がある中々大きな規模の駅で、駅弁の販売サービスなどがありました。国吉からも列車は田園地帯をしばらく走行し、海沿いの大原駅に到着しました。大原駅はJR外房線との接続駅で、車内放送で東京方面への接続案内が重点的に行われるなど、都市部からの観光客を意識した案内がなされていました。

考察

運行形態

休日・平日ともに上下併せて40本程が運行されており、そのうちの約半数が上総中野~大原間の通し運用、残りの半分ほどが大多喜~上総中野間や大多喜~大原間の区間運転となっています。休日は一日8本国鉄旧型気動車を利用した観光急行列車が運行されています。上総中野駅で小湊鉄道線、大原駅でJR外房線と接続しており、乗り換えを考慮したダイヤ設定がなされています。

車両

2010年代になって製造されたいすみ300・350型を主力車両として運行しています。最新型の車両を導入して整備コストや運行コストの低減を図る一方で、先述の通り観光用として1960年代に製造された旧型気動車(キハ58・52型)をJR西日本より購入し、運行させています。

特筆すべき取り組み

国鉄気動車の運行

先述の通り、国鉄が製造した旧型気動車を観光急行列車やレストラン列車として運行されています。蒸気機関車やトロッコ列車の観光用運行は全国的に見られますが、この様な旧型気動車による観光列車運行は旧国鉄キハ40型をレトロ調列車として運行している山口県の錦川鉄道を除いて存在せず、ユニークな取り組みであると言えます。

ムーミン列車の運行

人気キャラクター「ムーミン」のデザインをあしらった列車を運行しており、また駅でのムーミングッズの販売なども行われています。路線ののどかな雰囲気がムーミンの世界観ともマッチしており、優れた試みであると考えました。

地元との連携

車内で地元名所の宣伝を行ったり、地元の方が駅で弁当や民芸品を販売するなど、地元と密着したサービスが行われています。地元との関係を深めて地域活性化や利用者の増加につなげようとしている試みであると考えました。

感想

のどかな雰囲気の路線で、「レトロ」の象徴である旧型気動車や、スローライフの象徴とも言えるムーミン、さらには地元の方との交流など、のどかさを上手く活かした施策が数多く行われている路線であると思いました。

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