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納豆


納豆は、大豆を枯草菌(こそうきん)の一種である納豆菌のはたらきにより発酵させて作ります。
ねばねばした糸の主成分ポリグルタミン酸を分泌するのは納豆菌だけです。
増殖のスピードが早く30分おきに倍々になるので、15時間後にはひとつの納豆菌が10億個にも増えます。
この発酵の段階で納豆独特の香りが出てきます。

この細菌は有機物を分解する活性が非常に強く、最終的には菌自身も分解してしまうほどです。
ただし、生き残れるよう体を熱や乾燥に強い胞子に作り替えておきます。
普段は胞子の状態で眠り、食べ物(栄養分)ができると起き出し爆発的に生育します。
そして、好きな食べ物が無くなると再び胞子となって一気に眠ってしまう、とても熱しやすく冷めやすい菌だといわれています。

熱にも強く、100℃くらいの熱湯をかけただけでは直ぐには死滅しないので、他の雑菌を殺菌しても納豆菌だけは生き残っている可能性が高く、絶大な生命力を持ちます。
原料の大豆より栄養豊富な食べ物になるうえ、整腸作用や消化作用など様々な機能性に優れることから需要の高い健康食品といえます。


歴史

奈良時代、藁(わら)で作った「苞(つと)」という容器(写真)に都で手に入れた魚介類・山菜・木の実・大豆などを入れて、お土産にしていました。
藁には大量の納豆菌が付着しているため、煮た大豆を入れた苞を背負って何時間も歩いて移動しているうちに自然に発酵して納豆になり、塩をかけて食べたのが始まりとされています。

その後、この食べ物は徐々に広まっていき、納豆は寺で作られるようになります。そのときに寺の「納所」という台所で作られていたことから平安時代に「納豆」という言葉が使われるようになりました。


製造法

材料・・・大豆  納豆菌

@原料の大豆を洗い、水に浸す。(このとき大きさは約2倍に膨らむ)
A大豆を蒸す。
B蒸した大豆に納豆菌をスプレーする。(まだ粘りはない)
Cトレーやカップ容器に移してから、40℃〜45℃で約18時間発酵させる。



栄養・効果


納豆は、大豆に納豆菌という細菌をかけて発酵させ独特な風味と粘りを作り出したものです。
納豆のねばねば(独特の粘り)は、納豆菌がつくり出すアミノ酸の一種「グルタミン酸」という成分からできています。
長く糸を引くのは、大豆のたんぱく質を分解してできたグルタミン酸が糸状に長くつながったものと「フラクタン」という糖の一種が絡み合って連結したものです。
連結すると「ポリグルタミン酸」という物質になり、納豆の糸の主成分です。

納豆は主に大豆に含まれる栄養素と、ねばねば成分に含まれる栄養素があります。



体験レポート


タカノフーズ おかめ納豆水戸工場・納豆博物館



参考資料


日刊工業新聞社 トコトンやさしい 発酵の本 P40〜41,84〜85
誠文堂新光社  発酵のきほん P50,106
日東書院本社  科学っておもしろい!なぜ?なに?なんで?わくわくサイエンス P182