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Section1. 発酵するとは〜腐敗と発酵の違い〜


発酵と腐敗は、どちらも「微生物の働きにより、有機化合物(炭素が含まれる物質)を分解し、新しい物質が生成される」という科学的な現象であり、違いはありません。では、何によって区別されるのでしょうか?
その答えは、生成された新しい物質が人間にとって有益か有害かということです。
例えば、発酵食品は栄養がたくさんあり、人にとって良い作用をもたらすので「発酵」、一方で食中毒は体を悪くするため「腐敗」となります。


16世紀後半に来日したイエズス会の宣教師ルイス・フロイスが日本に残したメモに
  「我々においては、魚の腐敗した臓物は嫌悪すべきものとされる。日本人はそれを肴(酒のつまみ)として
用い、非常に喜ぶ」
と記述があります。
これは塩辛のことを指すと考えられていて、日本人にとっては美味しい発酵食品でも、ポルトガル人にとっては腐敗物と判断されたことが分かります。このように文化によって発酵食品とみなされるものは変わります。
発酵は食材の風味・色などを人間にとって有益なものに変化させます。食品だけでなく、薬や洗剤・サプリメントなどにも利用されています。こういった発酵をおこなう微生物を総称して、発酵菌と呼びます。


 まとめ

 ・発酵とは微生物が人間にとって有益な物質を作ることである。
  人間にとって有害な物質を作ることを腐敗という。
 ・発酵をおこなう微生物を「発酵菌」という。








  もっと知りたい!


発酵食品はいつからあったの?


発酵食品の歴史はどのくらい長いか知っていますか?
実は今から7000〜8000年前には食べていたといわれています。その証拠となったのはメソポタミア地方で見つかった壁画です。そこには、人がブドウからワインを作っている絵が描かれていました。
その後、ワインはヨーロッパへ伝わり広まっていったと考えられています。
はじめから「ブドウを発酵させるとワインができる」と知っていたのではなく、たまたま放置していたブドウが腐敗せず味や香りがよいワインになることを経験的に学び、食べるようになったと考えられています。













基礎知識
2. 微生物の世界