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2019年度科学技術週間行事「理化学研究所 和光地区一般公開」


"微生物がつくるくすりの種を探してみよう"

国立研究開発法人 理化学研究所


http://www.riken.jp/

【場所】埼玉県和光市 理化学研究所 生物科学研究棟  【見学日】2019年4月20日



フレミング博士によって世界初の抗生物質「ペニシリン」が微生物の発酵作用で発見されました。現在も、微生物がつくる物質をもとに化学構造を改変したり、複数の物質を組み合わせたりしてより使いやすい医薬品が研究・開発されています。

理化学研究所では、生物によって産み出される様々な化合物がどんなはたらきをするのかを調べたり、役に立つ化合物を土壌や動植物などから探して新たな薬の種になるような化合物をつくるための研究をしています。
中学生が理解できる範囲ですが、最新の研究内容を知りたいと思ったので、理化学研究所の一般公開を利用し「微生物によるくすりの種探し」をしているケミカルバイオロジー研究グループのブースを見学してきました。





化合物のはたらきを調べ整理する



科学の進歩によって多くの生物の様々な性質が調べられるようになっていますが、まだ解らないことがたくさんあります。理化学研究所 化合物リソース開発研究ユニット(化合物ライブラリー)では、生物が作り出す化合物を変形または分解して、さらに多くの化合物を産み出し、集めて整理しています。
整理された化合物は図書館の本のように集められ(ライブラリー)、人、動物、植物およびその病気など、生物に関係する様々な研究者に使ってもらえるように工夫されています。


役に立つ化合物をつくる



様々な化合物のはたらきを知ることで、病気を治したり、食べ物をおいしくしたり、害虫を防いだりすることが可能になります。安全で健やかな生活を続けるために利用される化合物は重要な資源の一つです。 
(※「化合物のはたらきを調べ整理する」「役に立つ化合物をつくる」は一般公開2019.4.20で配付された理化学研究所 化合物リソース開発研究ユニットの資料を参考にしました)


土にいる微生物から薬を作る方法について



@ 土を採取し、微生物の種類ごとにシャーレや試験管で培養する。試験管で培養するときは、寒天を斜めにして
  空気に触れる面積を増やす。培養した微生物の性質やその微生物が作り出した化合物の構造を調べる。
A 目的にあった微生物を見つけ出し様々な試験を経て、薬が作られる。
  ※理研ではAまで行っているそうです。


微生物を培養させるとき (@について)



以下の2つの方法があるそうです。
(1) シャーレや試験管に1種類ずつ培養させる方法(主に微生物を保存するときにこの方法を用いる)。
(2) 大きな寒天に複数の種類の微生物を培養させ、それぞれの微生物がどう影響し合うかを見る方法。

今回展示してあった(2)の方法で培養した微生物の中には、他の微生物の増殖を妨げるものやその力がないものが混在しており、その性質が一目で判断できるようになっていました。


調べる方法 (Aについて)



微生物が発酵(ここでは微生物が新しい有機化合物をつくること)によって作り出した化合物を単離し、その構造や性質を調べます。


まとめと感想


土からの微生物の単離、化合物の精製・構造解析や生物活性評価について、パネルや展示物で詳しく紹介されていました。難しくて分からないことがありましたが、質問すると研究者の方々がとても丁寧に説明してくれました。また、くすりの種を探す研究(微生物、化合物の分離、化合物バンクなど)の体験コーナーもあり参加しました。
普段の生活の中で服用している医薬品の中にも、微生物の発酵作用を利用したものが含まれていることがよく分かりました。