改革についての説明 其の一 ~労働時間~


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 働き方改革で最も主流なのが労働時間削減なのは知っているけれど、具体的にはどうすることなの?

 基本的には残業時間を減らすことなんだ。まずはそこから説明しよう。下の図を見てみて。
 従来までの法定労働時間は一日8時間、週(5日)40時間で、大臣告示による残業時間の上限は一カ月だと45時間、一年だと360時間だったんだ。ただし、年間6カ月までは残業の上限はなかったんだ。ここまでいいかな?

 ちょっと待って!
 一年間は12カ月だから45(時間)×12カ月で...540時間!一年間で540時間残業していいんじゃないの?それなのになんで上限が360時間なの?

 あ~、それは。一カ月間だったら最大45時間できるけれども、それを毎月されるのも良くないから、一年間の中でも上限を決めているんだよ。

 なるほど。

 それでね、従来の法律では残業時間の上限を越しても行政指導があるだけで、違反に対する罰金などの罰則がなかったから、法的強制力に欠けていたんだ。

 その通り!ということは実質は年間を通して残業の上限が無かったんだ。
 それなので、法的強制力を強化するために、厚労省は改革を推進しているんだよ。
 それじゃあ、改革後の労働時間の上限が改革後にどのように変わるのかを見ていくよ。
 下の図を見てみて。
 法定労働時間は従来同様の一日8時間の週5日、残業時間は月45時間、年360時間で一見変わっていないように見えるけれども、赤線が入っているね。この赤線は法律による上限がかかっていることを示しているんだ。ただし、年間6カ月の間だけは、臨時的な事情の場合のみ年720時間の残業を追加することが許されている。複数月平均80時間以内、月100時間未満という条件付きで。

 へぇ。という事はつまり、一日最大4時間の残業ができるわけか。確かに、残業時間がほぼ無制限だった従来の法律と比べて大幅に法的強制力が上がったね。
 ちなみに、もしこの上限を破った場合にはどのような罰則が与えられるの?

もしこの上限を破ってしまった場合は、会社や責任者に対して、6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が課されるんだ。

え!会社だけでなく責任者にも課されるんだ!そうなってくると企業もより一層上限を超えないようにと頑張るね。




労働時間のまとめ


 さて、上の会話文の内容をまとめると同時に、少し深堀してみましょう。
 まず、従来(改正前)と改正後の労働時間に関する内容をまとめてみると以下のようになります。
従来(改革前) 改革後
法定労働時間 8時間 8時間
残業時間(原則) 45時間/月 45時間/月
残業時間(例外)(年間6ヶ月まで) 上限なし 複数月平均80時間(月100時間未満)
(年間720時間未満)
罰則 行政指導 6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金
 上の表を見ると分かる通り、改革によって罰則が追加されたのがわかります。罰則が追加されるということは法的強制力が増すことになります。ここが働き方改革の残業時間の改革の最大の強みであると言えます。

 下の表は、改革で決まった残業時間の上限規制の内容を適用する時期が特別(遅れる)である職業の一覧です。
職業 概要
自動車運転業務 適用は改正から5年後。(適用後の上限規制は年960時間)
建設会社 適用は改正から5年後。(災害時の建設工事の場合は上限規制は適応されない)
医師 適用は改正から5年後。(具体的な上限時間については今後医療関係者とともに政府が検討する予定)
鹿児島・沖縄県の砂糖業 適用は改正から5年後。
新技術等の開発業務 上限規制なし。(労働時間が上限規制を超える者は、医師との面接指導を受けなくてはならない。また、従業員の健康を確保できるような措置も設けなくてはならない。)


 その他の残業・労働時間に関する詳しい変更点を知りたい方は以下のページに飛んでください。


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