社会保険労務士法

社会保険労務士法は1968年に厚生労働省の管轄の下で制定された、社会保険労務士の資格を定め労働者の福祉の向上に寄与することを目的とした法律です。

第一条 この法律は、社会保険労務士の制度を定めて、その業務の適正を図り、もつて労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的とする。

社労士とは

社会保険労務士(社労士)は社会保険労務士法に基づいた国家資格です。組織運営に必要とされる経営の3要素「ヒト、モノ、カネ」のうち「ヒト」を最重要視し、労働者すなわち「ヒト」にとって快適な労働環境の構築を手助けしています。以下に、社会保険労務士の主な業務内容をまとめます。

社労士の仕事内容

就業規則などの作成・変更(賃金・労働時間に関する相談)

先述したように社労士は「ヒト」(労働者)にとって快適な労働環境の整備を目的としているため、良好な労使関係維持のための就業規則・賃金制度・36協定などの作成・変更やアドバイスを行っています。

労働社会保険手続き業務

社労士の業務の1つに、企業の労働社会保険加入の手続きを代行することが挙げられます。企業が労働社会保険に加入しなければ、従業員の労働災害・病気・定年退職後の年金などに関して給付を受けることができないなどの不利益を被ってしまいます。また、コンプライアンスを守ることやCSR(企業の社会的責任)を果たすという意味でも、労働社会保険加入は企業にとって重要であると言えます。しかし、労働社会保険の手続きはとても複雑な仕組みとなっており、人事担当者などの負担の増大につながると指摘されています。そこで、社労士が保険加入を代行することで手続きが円滑かつ正確に行われ、かつ人件費削減が可能となります。

各種助成金の申請

現在日本では雇用や人材育成に関する助成金が国から企業へ支給される制度があるものの、受給条件が助成金の種類によって異なるなどの複雑さから支援を受けない企業も存在しています。そこで、助成金の受給対象となるか否かの判断や申請手続きを社労士が担うことで企業の成長を支援しています。

労働者名簿・賃金台帳の作成

記載内容に不備があった場合は罰則を課されることもある労働者名簿や賃金台帳を、企業に代わって社労士が専門知識を活かして作成します。

人材育成・雇用管理に関する相談

人材の扱いの専門家として、優秀な人材育成の方法や適切な労働時間の管理などに関する相談に応じています。

経営労務監査

職場内でのトラブル発生や企業のコンプライアンス違反を防ぐことを目的として、賃金台帳や就業規則などの作成のみならず、実際の企業の運用状況について監査を行っています。

個別労働関係紛争に関する裁判での陳述

労働保険や社会保険に関するトラブル・個別労働関係紛争の解決が裁判に持ち越された場合、社労士は補佐人として、弁護士と共に労働社会保険に関する行政訴訟・個別労働関係紛争に関する民事訴訟で陳述を行うことができます。

この他にも、年度更新・算定基礎業務・年金に関する相談などの労働とは直接的な関連性が薄いと思われるような業務も行っています。

社労士会労働紛争解決センターについて

社労士会労働紛争解決センターとは、全国47都道府県に存在する社労士会が職場内のトラブルを話し合いで解決するための機関として設置したものです。

特定社労士が、賃金・解約などについて労働者・企業側の各当事者の言い分を取り入れて適切な和解案を提示し、双方の当事者の話し合いによって円満な解決を目指す機関とされています。

まとめ

社労士は社会保険労務士法に基づいた国家資格。
社労士は快適な労働環境の構築を手助けしている。