蜂群崩壊症候群(CCD)

蜂群崩壊症候群(CCD)とは


 2006年から2007年にかけて、世界各国で多くのミツバチが失踪するという現象が起こりました。その数、なんと北半球の全ミツバチの四分の一。
 [ミツバチの失踪とネオニコチノイド系農薬の関係]では以下の4つを同時に満たす場合CCDと呼ぶと定義しています。(山田敏郎、日本奥山学会誌 2 (1), 16-32, 2014)

1.封蓋蜂児(孵化前の幼虫)が存在したまま、蜂がいなくなる。(通常、蜂児が全て孵るまで巣を放棄しない)
2.食料(蜂蜜や花粉)は備蓄されている。
  1)これらはすぐには他のミツバチに奪われることがない。
  2)スムシ(ハチノスツズリガの幼虫)のような蜂の巣を襲う害虫からの攻撃が著しく遅くなる。
 3.女王蜂は僅かな働き蜂とともに残っている。
 4.成蜂の急激な減少にも拘わらず、周囲には死蜂が殆ど見られない。

 食料があるにも関わらず、CCDの巣箱は敵に襲われないというのは、動物たちは何か恐ろしいことが起きていると直感的にわかっているからなのでしょうか?
 通常、巣を捨てて出て行くときは幼虫が成長するまで待ち、女王バチを連れて、はちみつをたっぷり飲んで行きます。しかし、巣の中に女王バチと幼虫、食料までそのまま残されています。しかし、巣の周りにミツバチの死体がほとんど無いのです。
 ミツバチによる受粉に頼っていた数々の農作物の価格も高騰しました。
 CCDは、日本ではイタイイタイ病と掛けて「いないいない病」と呼ばれることもあります。
 日本ではあまり深刻な被害が出なかったようですが、アメリカ、ヨーロッパ各国では深刻な被害が出ました。飼育していたミツバチの半分以上がいなくなってしまった養蜂家の方も少なくなかったようです。
 日本ではあまりニュースになりませんでしたが、海外では様々な原因研究がなされ、マスメディアを騒がせました。
 しかし原因は一つに特定できず、多くの要因が重なったことが原因であると結論付けられました。これを機に、養蜂が見直されるようになり、病気やダニに強いロシアミツバチを使った養蜂や、ダニに寄生されにくい通常より小さな巣房での養蜂などが少しずつ普及し始めているようです。


参考文献
Rowan Jacobsen 『蜂はなぜ大量死したのか(原題 Fruitless Fall)』 文芸春秋、2009年
久志冨士男 『ニホンミツバチが日本の農業を救う』 高文研、2009年
越中矢住子『ミツバチは本当に消えたか』 SoftBank Creative、2010年
ミツバチの失踪とネオニコチノイド系農薬の関係 山田敏郎、日本奥山学会誌 2 (1), 16-32, 2014 https://www.researchgate.net/profile/Toshiro_yamada2
一般社団法人 日本養蜂協会 ホームページhttp://www.beekeeping.or.jp/
ウィキペディア 蜂群崩壊症候群  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%9C%82%E7%BE%A4%E5%B4%A9%E5%A3%8A%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4