課題解決への提案

ここからは、課題解決に向けて実際に私たちが考えたことを示します。

私たちは、地方創生応援税制の応用、魅力的なツアープラン、外国人観光客にもっと快適に旅行をしてもらうためのサポート、の3つを提案します。

その1 ふるさと納税の活用

観光地の収益減少の解決策として、ふるさと納税を通して観光業を支援することが可能です。

そもそもふるさと納税とは?

ふるさと納税は、正式には、地方創生応援税制と呼ばれるものです。総務省はふるさと納税の持つ意義として、納税者が寄付先を選択できることで、税金の使途について考えるきっかけになることや、故郷だけでなく応援したい地域を経済的に支援できるといったことなどを上げています。また、ふるさと納税が導入された背景には、都市部と地方の税収の格差を是正する目的があったと言われています。


観光業を支援する仕組み

使途が観光に限定された寄付形態は今までにもありましたが、現在は、特に新型コロナウイルスにより損失を受けた事業を支援するプロジェクトの一環として観光関連事業者を支援できるふるさと納税サイトも存在します。

ふるさとチョイス
…新型コロナウイルス被害事業者向け支援プロジェクトの一つとして、現在経営が危ぶまれている観光施設に寄付を行うことが出来ます。地域別に寄付先がわかりやすくまとまっており、それぞれの地域の現状が良く分かります。またこのサイトでは、観光事業者に限らず外食産業関連事業者などの支援も受け付けており、より広義的に観光業を支援することが可能です。
ふるさとチョイスのサイトはこちら

さとふる
…新型コロナウイルス関連のふるさと納税応援・支援サイトが登場しています。ここでは、主に体験型の返礼品を提供しており、これらの返礼サービスに先立って寄付を行う「さきに寄付」を行うことで即今の事業者の支援に繋がります。
さとふるのサイトはこちら

楽天ふるさと納税
…新型コロナウイルスに対する支援として、他の産業業界とも連携したプロジェクトを展開しており、支援できる自治体数も多く選択の幅が広がります。
楽天ふるさと納税のサイトはこちら

構想モデル図

モデル図

①特定の地方自治体を支援したい人がふるさと納税でその地域への寄付を行います。

②後に寄付者が支援地に実際に訪問します。

③寄付を受けた地方自治体はその資金を観光業の復興に充てるとともに、実際に寄付者が観光客としてその地域に訪れた場合、サービスを提供します。

図はオリジナルです

期待できる様々なメリット

このような制度を利用して観光業を支援することで、自治体、寄付者ともに多くのメリットがあるのではないかと考えられます。

まずは観光業の不況を経済的に支援できることがあげられます。
諏訪湖温泉協同組合の方に行ったインタビューから、現在観光業は公費の投入による支援を必要としていることがわかりましたが、ふるさと納税を利用した経済支援は寄付者が選択的に寄付を行える点で、融通性に富む施策となることが期待できます。

また、近年ふるさと納税は過剰な返礼品目当ての寄付が問題視され、2019年にも、返礼品の返礼割合を3割以下とすることや返礼品を地場産品とすることなどが定められたばかりです。
このような中で自治体の観光業を支援することは、その地域の持続的な活性化にもつながり、寄付者が思い入れのある自治体を応援する、ふるさと納税の本来の趣旨に立ち返ることが出来る機会になると考えられます。それと同時に自治体側も、返礼品目的でない寄付者の獲得の足掛かりになるのではないでしょうか。

そして今後、このようなふるさと納税の募集を自治体側が増加させていくことで、ふるさと納税全体の方向性が返礼品重視のサービスから地域の持続性に重点を置いたものとなれば、ふるさと納税が地域の観光業発展にも大きく貢献していくことが期待できます。