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遺伝子治療

遺伝子治療とは?

遺伝子治療とは病気の原因となっている遺伝子を正常な遺伝子レベルの治療法で、がんや先天性の病気の根本治療も期待されています。

遺伝子治療の方法

では、実際にどのようにして遺伝子治療が行われているのでしょう?遺伝子治療はまず遺伝子を解析し、病気の可能性を診断するところから始まります。 病気の原因となる遺伝子が見つかったら、その病気の原因となる遺伝子を抑え込んだり遺伝子を正常化したりするために、細胞に患者さんに合った 遺伝子を導入します。

遺伝子を導入する方法

ここまでは遺伝子治療の大まかな流れを説明しましたが、具体的にどのように遺伝子を細胞を導入するのでしょうか? 物理的方法、化学的方法など様々ありますが、主な方法として

ウイルスベクターの問題点

しかし、そんなウイルスベクターにも問題点があります。ウイルスベクターには、「アデノ随伴ウイルス(AAV)」や 「アデノウイルス」、「レトロウイルス」、「レンチウイルス」などがありますが、それぞれ欠点があります。下の表を見てください。

ウイルス長所短所
レトロウイルス・遺伝子発現がずっと続く・不安定でがん化する可能性がある
・非分裂細胞には使えない
アデノウイルス・発現効率が良い
・非分裂細胞に使える
・遺伝子発現が短い
レンチウイルス・遺伝子発現がずっと続く
・非分裂細胞に使える
・HIVウイルスを用いている
・作製方法が複雑
アデノ随伴ウイルス・遺伝子発現が長期的
・非分裂細胞に使える
・入れられる遺伝子が小さい

表からわかる通り、それぞれのウイルスには長所もありますが短所もあります。これらのウイルスは使用用途に合わせて選ぶ必要があります。

遺伝子治療には普段は私たちの敵であることが多いウイルスが活躍していたのです。ただ、普及には程遠く新しい遺伝子治療の開拓が必要です。

ウイルスの感染手段を逆に利用したのですね!
遺伝子治療の未来はどうなるのでしょうか?

参考文献 書籍

  • 岩波科学ライブラリー 難病にいどむ遺伝子治療
    (小長谷正明、岩波書店・2016年 11月9日)
  • マンガでわかるゲノム医学
    (水島-菅野純子 著 羊土社・2018年 8月5日)
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