噴火のメカニズム
簡単に言うと、噴火とは”地下から昇ってきたマグマによって、 火口から地下の物質が急激に噴出する現象”です。
噴火の仕組みはとても複雑であり、その時の条件によって変わるため、「この山はこの爆発をする」と一概に言うことができません。しかし、噴火のしかたは大まかに何種類かに分けることができます。
水蒸気爆発
まず、高温のマグマが上昇して地下水を含んだ地層が熱せられます。そこで水蒸気が発生し、圧力が高まります。 その水蒸気が火口から噴出し、一緒に岩石の破片や火山灰も放出されます。このときマグマは噴出しません。 爆発時には大きな音がともない、放出した岩石の体積に見合った大きな凹地が火口に残ります。
マグマ水蒸気爆発
マグマが地下水や湖水、海水などの水に直接触れることで、水蒸気が爆発的に発生します (熱した空のヤカンに水を少量落とすイメージ)。 マグマが浅いところまで来ているので、水蒸気と同時にマグマも放出されます。 水を包んでいた岩石が爆発によって5キロ先まで噴き飛ぶこともあります。
マグマ爆発
地下の高温や高圧の場所がより高温、高圧となることによって内部の圧力が高まり、 マグマの中の揮発性物質(水蒸気、硫化水素、二酸化硫黄など)が発泡して爆発します。 また、とても大きな音とともにガス、水蒸気、岩石などを地表に放出します。
噴火の規模は、普通、以下の順です。
水蒸気爆発<マグマ水蒸気爆発<マグマ爆発
噴火様式
噴火様式はそのときの噴火活動の特徴を表したものです。ただし、噴火の種類と同じように、どの火山も噴火のたびに様式が異なることが多くあります。
ブルカノ式噴火
比較的小さい規模の噴火によって、火口から噴石や火山弾、火山灰を勢いよく噴出するタイプ。日本では特に頻繁に起こります。マグマに溶けているガスの圧力が高まり、突然火口から岩石が飛び出すため危険性が高いです。連続的ではなく、数分から数時間の間をおいて繰り返すことが多いです。爆発にともなって空気が振動し、山に面した窓ガラスが割れることもあります。
ストロンボリ式噴火
比較的短い周期で火口からマグマ片や火山弾を放出するタイプ。10分ほどの間隔で、高温のマグマや固まりかけたマグマが高く上がり、弧を描いて火口の近くに落ちます。規模が大きいと、火山弾が火口から1km飛ぶことがあります。その後、粘性の小さい溶岩がかなりの速さで流れ出すこともあります。しかし、爆発的な噴火ではないので比較的安全です。
プリニー式噴火
大規模な噴火にともなって噴石が広い範囲に降り積もるタイプ。キノコ形の雲をつくりながら噴煙が何万メートルも高く上がり、風下側で大量の火砕物を積もらせます。高く上がった火山灰は成層圏にまで達し、偏西風で東に流され何百キロメートルも先に降ることがあります(日本の上空の場合)。非常に細かい火山灰の場合、地球を回ることもあります。大量のマグマが噴出した後は、カルデラができることがあります。
ハワイ式噴火
粘性の低いマグマが火口や割れ目から流れ出すタイプ。小規模な噴火を短期間で繰り返します。火口の中でマグマがたまって溶岩湖をつくり、そこでマグマがゆっくりと沸騰します。その後、小さな爆発で火山弾などを空中に放出します。活動が活発になると、マグマを噴水のように噴き出します。
プレー式噴火
極めて粘性の高いマグマが押し出され、爆発と同時に小規模で高温の火砕流が流れ出るタイプ。災害の原因となり、危険性が最も高い様式です。