身近なUD図鑑
| ~私たちの近くにある身近なUDを掲載しています~ |
電車
様々な人が使用する電車へのUD導入は不可欠です。ここでは、電車の中や駅に見られるUDを掲載しています。
つり革
皆さんは、つり革の高さがバラバラな電車を見たことがあるでしょうか。実はこれもUDへの配慮の結果なのです。低いつり革ならば背の低い人や高齢者などの腕が高いところまで上がらないような人でも簡単に捕まることができます。使う人の身体的特徴に合わせて使いやすい方の高さを選択することが出来るのです。最近ではこのタイプのつり革を取り入れている鉄道会社も増えてきており、社会へのUD普及の進歩を感じ取れるかと思います。また、優先席付近では黄色のつり革を用いることで、優先席の場所が一目でわかるようにもなっています。
さらに、鉄道会社は各社で握りやすい形のつり革を独自で開発している場合もあります。これも、握りやすい形を追求したUDの結晶のようなものといえます。
ポール
一部の通勤電車の座席の間に写真のようなポールがあります。このポールは、様々な役割をもっています。ここでは、主に三つの役割を紹介します。
一つ目は、座席の区分を明確にし、定員通りに座ってもらうためです。注:これはUD7原則にあてはまりません
二つ目は、立っている人がつかまるためです。先述したつり革の工夫を施しても長さが足りない小学生くらいの子供でも、ポールにつかまり体を安定させることができます。
三つめは、座っている人が立ち上がる時につかまるためです。荷物をたくさん持っている人や、高齢者の方々には非常に役に立ちます。
また、つり革と同様に優先席のポールを黄色にしたり、優先席のポールを増設したりする、などの工夫があります。
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優先席の周辺
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座席間のポール
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案内装置
電車の内外には停車駅や行き先を案内する案内装置がついていることがあります。英語表示を取り入れたり平仮名やカタカナで表示するといった工夫がなされています。
案内装置にはテレビ型のものや、LEDを用いて情報を表示するものなど様々な種類がありますが、最新のものはテレビ型のもので、列車の停車駅、所要時間、マナー喚起や乗換の案内など様々な情報を簡単に効率よく知ることができます。また、最新のものの中にはフォントをUD化したり、カラーユニバーサルデザインに配慮したりといった工夫が凝らされている場合もあります。
車内の案内装置は今はほとんどの車両に普及しましたが昔はない車両が多く、今自分がどこにいるのか、どの種別(急行・快速・各停など)の電車に乗っているのか、車内では車掌のアナウンスでしか知ることができなかったので、大きな進歩です。
さらに、今では英語案内に加えて中国語や韓国語の案内を実施しているものも増えてきています。
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平仮名の表示
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英語の表示
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中国語の表示
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韓国語の表示
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路線図
駅の路線図は非常に複雑で、にらみつけるように見てしまうことがあります。各鉄道路線の色が入り組んだ路線図は色弱者の場合、路線同士の差が不明瞭に感じてしまうことにより、見にくくなってしまいます。これを解決するため、見分けやすい色を選んだり路線を示す線を太くしたり、ハッチングと呼ばれる細かい平行線を加えることで同系色の線との差をつけるなどといった工夫が見られます。さらに、駅構内の看板にある各路線のアイコンも、色で示すだけでなく、色のついた円の内側に各路線を表す文字を入れることでより色弱の人にも認識しやすく、わかりやすくなっています。
他の工夫として、次に詳しく紹介する駅ナンバリングがなされている路線図もあります。
駅ナンバリング
駅ナンバリングとは、駅に番号を振ることです。路線記号も併せて付与される場合が多くなっています。上の案内装置の写真にも小さいですが駅ナンバーが書いてあります。
このようにすることで、例えば似たような駅名が続いても外国人観光客にもわかりやすい鉄道を実現することができます。
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駅ナンバーが路線図に記載されています。
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豆知識 ‐外国では進んでいる路線ナンバリング
制作者の一人は過去にベルギー王国の首都、ブリュッセルに住んでいました。
ブリュッセルの地下鉄では、日本のバスのように路線ごとに番号が振り分けられており、日本のように行先のみ案内されているのみではなく、系統の番号も案内されています。番号を用いた案内をすることで、私たちは外国語(フランス語・オランダ語)があまりわからなくても快適に地下鉄に乗ることができました。
また、ほかのヨーロッパの国々でも路線名を用いた案内ではなく路線番号を用いた案内が主流となっていました。
アルファベット表示より番号表示のほうがわかりやすいと感じたので、日本でも番号表示をしたらよいと筆者は考えていますが、世界でも有数の巨大な鉄道網をもつ首都圏を考えると、不可能に近いでしょう。なので、地方都市では率先して路線番号を導入すべきだと考えます。また、大都市でも、路線のアルファベット表示を積極的に用いて案内をすることが、最善の策だと筆者は考えます。
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ブリュッセルのプレメトロ(地下鉄と路面電車が組み合わさったもの)です。
番号による系統分けがすべての地下鉄でなされています。
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私たちの考え
交通機関の中でも電車は利用者数が特に多く、身近な存在です。今回改めて乗っている電車をUDの観点から観察してみると、様々な発見がありました。他にもUDが隠されている電車があるので、電車に乗ったときはよく観察してみるとUDの学習にも、社会学習の観点からもよいと思います。