狂言・能の有名な演目
GOくん
和泉元彌さんのお話には、いろいろなメッセージが含まれていたね。
伝子
そうね。狂言だけでなく人生そのものにも通じるものが多かったわね。
GOくん
ここまで狂言と能について見てきたけど、やっぱりどんな演目があるのか気になるな。
伝子
ええ、私もよ。見てみましょう!
狂言
「狸の腹鼓(たぬきのはらつづみ)」
内容:気惣太という
男がたはたを
荒らす狸を
射るために出かけると、
夫を探すために
女性に化けた
狸が現れました。
狸は気惣太に
動物を殺すのはよくな
いと意見しますが、帰り
道に犬の
鳴き声におびえ
ているところを見つかり、
正体がばれてしまいます。
腹鼓を見せれば
命を助けると
言われたので従いますが、
やはり狸を助けるのは
惜しい、と気が
変わった気惣太
に弓で射られます。
しかしかろうじてはずれたので、
狸は逃げ
去っていきます。
「比丘貞(びくさだ)」
三老曲の一つ。
内容:長生きなおばあさんの
庵(家)に、
ある人が成人した
息子に名前を
付けてもらおうと頼みに
来ます。彼女は
住んでいた庵の
名にちなんで庵太郎
(あんだろう)と名付け、
もう一つの名前
(名乗り)を比丘貞と
つけます。宴が開かれ
、親と子供が
舞った後、おば
あさんも若やいで
「鎌倉の女郎」と
いう舞を舞う、
というおめでたい話です。
「庵梅(いおりのうめ)」
三老曲の一つ。
内容:梅の
花が咲き
誇っているおばあさんの
庵に、大勢の
女性たちが梅見物
にやってきます。持
ってきた和歌の短冊
を出して添削しても
らった後で宴になり
、舞い始めたので、
おばあさんも昔を
思い出して
舞います。
やがて女性たちが
帰っていき、おば
あさんは見送って
家の中に
入っていきます。
「附子(ぶす)」
内容:主人が
外出する際、
太郎冠者と
次郎冠者に
附子という毒
を預け、決して
食べないように
と言っておきます。
二人は好奇心に
負けて味見して
しまいますが、実は
ただの砂糖で、つい
には全部食べてしま
いました。その後主人
が大事にしていた
掛軸や茶碗を
粉々にしますが
、やがて帰ってくると
「二人で相撲を
取っているうちに
まちがって掛軸と
茶碗を壊してしまった
。おわびに附子を
食べて死のうと
思ったがまだ
死ねないのです。」
と言い訳し、
逃げていきます。
能
「高砂(たかさご)」
場所:播磨・
高砂の浦(
兵庫県)、
津・住吉
(三重県)
内容:阿蘇の
神主友成(かんぬしともなり)が、
高砂の浦で
松の木陰を
掃除している
老夫婦に「
相生(あいおい)の松」
について尋ねると、
古今集(昔の
和歌集)に「
高砂住の
江の松も
相生のやう
(よう)に覚え」とあり、
和歌は
今も繁栄し
松も「生」の
象徴として称賛されて
いるのだと語り、さらに
自分は高砂住吉の
神であると正体を
明
かして消えます。
その後、住吉に
着いた友成の
前に住吉明神が
現れ、舞を
舞って平和と
長寿を祈ります。
「羽衣(はごろも)」
場所:駿河・
三保(静岡県)
内容:漁師白竜(はくりょう)が、
三保の松原で
美しい衣を
見つけて
持ち帰ろうとしますが、
天人が現れてそれは
天の羽衣だから
返してほしいと
頼みます。白竜
は家宝にすると
言い張りますが、
天人は羽衣がなけ
れば天に帰れない
と言って深く
悲しみ、返し
てくれたら天人の
舞楽を見せると
誓います。その言葉
で羽衣を返してもら
うことができた天人
はそれを身に着けて
のどかな浦の景色を
謡い、めでたい世
に対して喜びの
言葉を言い、
羽衣を優美に
なびかせて舞い
ながら地上に宝
を降らせて、やがて
霧にまぎれて
消えていきます。