しし座流星群について

昨年11月17日の明け方、しし座の顔の中央にあたる1点の星を中心として四方八方に流星が飛び出しました。残念ながら、流星雨とまではいきませんでしたがいくつか流れ星を見ることができました。
そこで、しし座流星群について少し説明しましょう。

  • しし座流星群とは?
  • しし座流星群の元は「テンぺル・タットル彗星」という彗星から出た、ちりの巨大な流れの中を地球が通過したときに、ちりと地球の大気中の物質がぶつかって発光したものです。毎年11月ごろ見ることはできますが、約33年の周期で増減をします。過去、1799年・1833年などは夜空からたくさんの流星がまるで雨のように降ってきたと記録されています。この時、見れた数は1時間に数万から数10万ともいわれています。しかし、例外もあって、1932年には最大で1時間に10個程度が精一杯といった年もありました。

  • 1965年のしし座流星群
  • 日本でたくさん見ることができたのは1965年の「しし座流星群」です。当時、月が出ていたにもかかわらず1時間に200〜300個の流星を見ることができました。
    また翌年アメリカの西部でも短時間でしたが、1時間に数万〜数10万個も見ることができました。この大出現から、32年たった去年。また、テンペル・タットル彗星が地球に最接近したので「流星群が大出現する」といわれました。

  • 1998年のしし座流星群
  • 世界が注目した、しし座流星群を時間ごとに追ってみました。

    今回のしし座流星群は、極大前夜(16日〜17日の夜)日本では1時間に15〜20個もの流星を観測することかできました。(ただし、これは視界を遮るものがなく6等星まで見える空で、流星群を1時間中1つも見落とさなかった場合です。)
    • 中東〜ヨーロッパでは…

    また、予想された極大時の20時間前中東のイスラエルでは、日本時間の17日午前9時から午後2時までに出現数のピークになりました。最もよく見えたのは日本時間午前11時半ごろの600余りです。
    東西ヨーロッパでは、日本時間の午前9時から半日にかけて1時間あたり平均250ぐらいの流星雨を見ることができました。ルーマニアでも平均200余りが見え、その40%は火球だったそうです。
    • 当日の日本では・・・

    極大時の日本では、北日本・日本海側・九州・沖縄は、厚い雲のため流星雨を見ることができませんでした。太平洋側では、17日の深夜になってから次々と流星を見ることができました。インターネットでも、生中継され一晩で数十万もの人がアクセスしたそうです。しかし、流星の数は最も見えた時間でも平均1分間に2〜3個程度で前日のヨーロッパほど見ることはできませんでした。 そのため、ピークは半日ずれた。と報道されました。
    • 予想通りのしし座流星群

    けれども、予想は外れておらず極大時は予想通り18日の明け方見えた数は、180前後だったそうです(この数は例年の10数倍)。ちりは、大小様々で最近放出されたものだったといいいます。 ただ予想外だったのは、極大時の約20時間前に極大の2倍近く(340前後)の流星が流れたということです。なので、極大時が早まったといわれたのでしょう。このようなことは、65年にも小規模ですがみられました。これは、33年たっても雲の分布が変わっていないことを示しています。また、93年のペルセウス座流星群でも起こりました。また、火球が見れるほどの大きな流星がたくさん見れたのはすでに小さなちりが軌道を外れていて、大きいものだけが残ったからではないかといわれています。

    まとめると、98年のしし座流星群は‥‥

    1. 予想された時刻に見れ、「流星雨」でした。
    2. 予測出現数は過去のデータなど様々な角度からみちびかれ、1時間に200〜1万も現れた。

    このように、予想が的中したのは珍しいことだそうです。
    今年の11月にも流星雨か流星嵐をみることができると研究者達はいっています。しかし、極大時にどれくらい見れるかはわかりません。しかも、極大時に空高くしし座が昇るのは日本ではなく中東や東ヨーロッパ、地中海中心になります。そのため、日本では見ることができません。
    • 流星の観測方法

    観測方法についてお教えしましょう。
    流星群を見るには天体望遠鏡は必要ありません。自分の目で見ます。
    まず、なるべく、明かりの影響が少なく広範囲に空を見渡せるところを見つけます。適切な場所が見つけられたら、芝生などに(大人数のときには円になるように)仰向けにねころびます。そうすると、長時間の観測でも首を痛める心配はありません。
    あとは、記録用紙、時計、懐中電灯、筆記用具、星座早見盤、天体の雑誌や本、携帯ラジオがあるといいです。懐中電灯は、本を照らすように赤いセロハンであらかじめ光を押さえておくと闇になれた目をそのままにしておくことができます。また、携帯ラジオは、気分転換や時刻確認につかえます。
    そして、冬場の観測(しし座・ふたご座流星群など)はとっても寒いので防寒の準備を万全にしないとあとで風邪を引いてしまうので気をつけてください。

    最後に、主な流星群を紹介しましょう。
    流星の名前見える日彗星の名前
    りゅう座1月2日〜5日不明
    みずがめ座7月15日〜8月15日ハレー彗星
    ペルセウス座7月25日〜8月18日スイフト・タットル彗星
    オリオン座10月16日〜26日ハレー彗星
    おうし座10月20日〜11月30日エンケ彗星
    しし座11月15日〜19日テンペル・タットル彗星
    ふたご座12月7日〜15日小惑星パエトン

    次に、しし座流星群が大出現するといわれているのは33年後の2031年です。しかし、去年のように日本やアジアでは見ることはできないといわれています。けれども、もし機会があればみなさんも見てはいかがですか?


    参考文献
    国立天文台ホームページ「しし座流星群について」
    しし座流星雨がやってくる 渡部潤一
    教養のための天文・宇宙データブック 比田井昌夫・寿岳潤・高瀬丈志郎
    星空フィールド日記 浅田英夫
    写真
    国立天文台広報普及部