〜フランス料理の歴史〜
フランス料理には異なった二つの起源があります。ひとつは民衆的な起源、もうひとつは職業的な起源です。歴史の流れに沿って、農民あるいは漁師の料理と宮廷の料理が存在しているといえます。前者は、土や自然と深く結び付き、その土地でできた旬の素材をもとに、家庭の母親や貧しい料理女によって作られる家庭料理で知らず知らずのうちに真似しながら覚えた手法で、伝統によってしっかり決められた調理器具と組み合わせ、根気強く試された調理法を用いてます。この料理こそ移動できない料理といえるでしょう。後者は、学識に基づいた料理で、発明、革新、実験の上に成り立っています。
ヲフランス料理のマナーの歴史ヲ
ヨーロッパの料理は、16世紀にイタリア料理がヨーロッパの他の国に侵入したことによって広がりました。つまりフランス料理の歴史をたどるということは、イタリアから何がどのように伝わってきたのかを調べることにつながるのです。
イタリアから伝わった礼儀作法としては、何よりもまず第一に『清潔』です。食前に手を洗う習慣をつけ、次にフォークを優雅に使い、そして慎み深く食べるということです。
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食卓の前に出される盥手を洗う。
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当家の主人が座るべき席を指示するまで待っていること。
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自分の目の前にある料理だけで我慢すること。
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汁物はスプーンで飲む。
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ロースト肉は大皿からフォークで取り、自分の皿に移してから指 で食べる。
モこのことから、フォークは長い間、大皿から食物を吊り上げる道具としてのみ使われていたことが分かる。
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熱い肉を冷やすのにフーフー吹かない。
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他の人から取り分けてくれるように頼まれたときは、一番美味しい部分を渡してあげること。
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デザートの菓子が出されたら、ハンカチに包んだり袖にかくして持って帰ってはいけない。
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姿勢をまっすぐ立て、決して皿に顔を突っ込むようにして食べてはいけない。
私たちには、非常に初歩的で当り前と思われている礼儀作法でも根付くまでには、長い時間がかかったのです。
料理を出す順番や食卓につく席順については、今日のような厳しさは全くありませんでした。料理はビュッフェ形式の食事が次々と出されるようなもので、あらゆる料理が一度に食卓に置かれ、一人ひとりの客が全部の料理を味わうべきだとは誰も考えていませんでした。一人の客が何を食べるかは何よりも座った席によって決まり、そこから手の届く範囲の料理かまたは隣人が取ってくれる料理に限られていました。各会食者が他の人と全く同じものを食べ、全員がメニューに載っている料理を一通り口にし、客の一人ひとりに料理が順番に出されると言うサービス方法は、18世紀になってやっと始まったのです。