本膳料理のマナー

・本膳料理
本膳料理は,室町時代以前の伝統的な饗応料理で、今日の日本料理の形式の原形となるものです。しかし、あまりに格式高く、作法も細かな技功に走りすぎたために、現在ではほとんど本格的に供されることは無くなったようです。

・料理の形式
本膳料理の名は,二の膳,三の膳に対する一の膳,つまり中心となる膳を本膳と呼んだことからきたもので,正式には次のような形式になります。膳は脚つきの塗り膳、食器も漆器のみを用いるのが正式です。

    本膳
飯,汁,膾,平わん,香のもの

    二の膳
吸い物,煮物,ひたしもの

    三の膳
焼き物(たい),あえ物(猪口)

    与の膳
小吸いのも(坪),揚げ物

    中酒膳
魚田,酢の物
飯,汁,膾,平わん,香のもの

与の膳,中酒膳の汁物以外は持ち帰りようですから,手をつけないようにしますが,現在では出されても三の膳どまりです。

・膳と料理の並べ方
最も正式なのが,本膳を中央に,右に二の膳,左に三の膳と一列に並べ,その奥の右側に与の膳,左に中酒膳を並べるやり方。三の膳までなら、本膳の右に二の膳,奥に三の膳を置きます。

・本膳のいただき方
正座して着席したら,蓋の物の蓋を取ります。まず,左側の料理の蓋を,奥から順に左手で取り,右手を添えて膳の左脇に,裏側を上にして置きます。
酒杯に酒がつがれたら,いったん膳の上に置いてから,三度で飲みほします。
次にご飯茶碗を両手で取り上げ,右手で箸を取り,一口食べます。箸を取り上げたときとは逆の手順で、頭が膳の右縁にかかるように置きます。
同じ要領で汁わんを取り上げ,箸をかるくわんの中に添えるようにして一口吸います。酒を飲み,箸を取り上げ,膾を食べます。器は膳の上に置いたまま,汁を落とさない様に左手を添えて口元へ。
また酒を飲み、平わん,小吸い物,又はあえ物と手をつけます。この様にして,酒を飲むというのが基本です。

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