懐石料理のマナー
・懐石料理
一服の濃茶に亭主と客の心を通わせる茶事。濃茶を最上の状態で味わうため,腹八分目程度に整えられる様に供されるのが懐石料理です。

折敷、つまり脚のない膳に、向付、汁、飯をのせ、水でぬらした利休箸の右端を3センチほど折敷の縁にかけたものが、懐石料理の最初です。飯は半蒸れ、汁は味噌汁でごく少量ずつ、向付は生の魚の細作り、酢じめなどです。料理が出されたら、箸を取り,飯、汁を交互に一口ずついただきます。亭主が片付け易い様,最後に食器を懐紙で清めます。

・向付は、酒を飲んでから箸をつける
正客が汁を吸い切ると,銚子と杯が出されます。向付を左に寄せて杯を置く場所を作り,亭主の酌を受けます。酒を一口飲んだら向付にも箸をつけます。

・煮物はしずくや汁を落とさないように
次に運ばれるのが煮物。懐石料理のメインになる華やかなものです。二回ぐらいに分けていただきます。途中一度わんの蓋をして、酒を飲み、また蓋をあけて全部いただきます。

・ご飯は各自でよそう
次は飯次と汁替え。汁は亭主のすすめに従って替え、飯次(二度目のご飯、やや蒸れた状態)は正客が蓋を預かり、末客まで回し、先に預かったふたをして亭主に返します。飯次は膝の上で取り扱うようにし、各自が順次よそいます。

・とり回しのものは順次とり回して
とり回しの焼ものの(白身魚中心)、飯次(三度目のご飯、完全に蒸れた状態)が続きます。焼ものは、飯わんの蓋などに懐紙を四つ折りにして敷き、その上にとります。焼もので、一応一汁三菜となりますから、亭主は、強肴、徳利を正客に預けて部屋から出、障子を閉めきって勝手口で相伴するのがしきたりです。客は、その間に、別に皿が出されていればそれに、なければ向付の器に強肴を順次にとり回し、自由に酒を注ぎ合って、料理を楽しみましょう。食事が終わると、末客はあいたとり回しの器をまとめ、勝手口に返します。亭主はころあいをみて障子を開け、食器を下げます。次に小吸い物、別名箸洗いが出たら、膳の右手に引き寄せ、蓋を右側に置いて吸います。海の幸、山の幸を盛った八寸と銚子が出されたら杯事、つまり亭主と客の盃のやり取りがあります。八寸は小吸い物の蓋にとります。

・ご飯は少量を湯づけ用に残す
杯事の次は湯次(お焦げに湯を加えたもの)と香のもので湯づけをいただきますから、ご飯は三〜四口残しておきましょう。とり回しの香のものは、端のほうから汁わんの蓋に取ります。

・食器は懐紙でふき清めて
食事を全部終えたら、懐紙で食器、箸、折敷をふき清め、正客の合図で箸を折敷の上に落とします。亭主はそれを聞いて食器を下げ、お菓子を出します。

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