奇形イルカの発見
太平洋はこの地球上でもっとも広大な海です。世界中でもっとも汚染濃度の低いこの海に泳ぐイルカにも、いまや科学汚染の影響が鮮明に現れているという。しかも、イルカの汚染濃度は陸上のいかなる生物よりも深刻だ。なぜこの一番汚染の低い海で暮らしているイルカに科学物質の蓄積が多いのか、それがここで問題になっている。
1987年に国立科学博物館の特別展示として、イルカの「シャム双生児」が展示していたという。このシャム双生児は1972年に妊娠中のスジイルカを解剖しているときに発見された。それは出産間際の胎児だったという。シャム双生児のイルカはとても少なくこの頃でも世界中でこの胎児を含めて3体しかいなかったという。自然界ではこのような奇形が約100万分の1の確率で産まれるといわれている。しかし、これほどの重症の奇形は、野生動物、とくに海で暮らす動物ではなかなか発見できない。
このイルカのシャム双生児が科学物質の影響による奇形かどうかについて奇形のイルカの発見数が少ないことから、研究者達はなんとも言えないという。だが、汚染され、汚れていく海が、イルカ達やその他の海洋生物にさまざまな影響を及ぼしていることはまぎれもない事実でもある。
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