生物の移動
大洋のただ中に生まれた火山島にはもともと陸上生物は存在しない。その島に他の陸地から生物が移住する経路は以下の3つがある。

1:海流
海水に強くて浮遊性のある植物(例:マングローブ)あるいは大木等に偶然乗った動植物は、海流に運ばれ来る。
2:気流
微小な種子や胞子、冠毛をもつ軽い種子、小さくて軽い昆虫やクモは風に運ばれてくる。
3:鳥
鳥自信の移動、または鳥が食べた果実の中の種子は糞とともにまき散らされる。羽毛に付着した種子、泥にまじって付着した種子も鳥に運ばれる。鳥は必ずどこかの陸地に降りるので、海流や気流で運ばれる種子よりもより確実である。

定着

島に移動してきた生物のうち、新天地の環境に順応できたものが移住に成功する。大陸の生物群がそろって移住・定着するわけでないから孤島の生物相は大陸と比べると、特定の生物群が欠けていたり、あるいは以上に多く生息していたりする。このようなアンバランスな特徴を持つ生物相を”非調和”という、ガラパゴスについていえば、動物では両生類が生息せず、昆虫類が以上に少ない。植物ではユリ科やリュウゼツラン科、裸子植物が欠け、トウダイグサ科、ヒユ科、キク科の種類が多い。また移動方法別でみると、海流で運ばれたとみなされる植物は9%、気流31%(多くは胞子を生ずるシダ類)で、鳥で運ばれたものが最も多く60%を占める。
定着に成功したばかりの生物では、同じ種類が大陸と島の両方にいることになる。すなわち、共通種である。

進化

島に定着した生物は、もはや出身地の同胞と交わることはなく、新天地に孤立した個体群を作り、独自の進化を遂げる。その結果、固有亜種あるいは固有種となってゆく。ガラパゴスでは固有の属にまで進化を遂げた生物が多くいる。
ガラパゴスにには多くの島があり、環境は変化に富む。1つの属の中で島ごとにあるいは生息環境ごとに、多数の種が分化している例もある。
1つの祖先型からいろいろな環境に順応して多くの種類が分化している現象は「適応放散」と呼ばれる。植物では低地の乾燥環境と高地の湿潤環境に多くの種が分化しているスカレシア属(キク科(、動物では植物食、昆虫食の多くの種の分化をみるダーウィン・フィンチという小鳥で有名である。


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