火山活動とならんで、現在のガラパゴスの自然条件を特色づけるのは気候である。
この気候を大きく左右するのはガラパゴスの海域を流れる冷たい海流の影響が大きい。

南氷洋に発したフンボルト海流(ペルー海流)は、南アメリカ大陸の太平洋岸に沿って北上、赤道近くで西に向きを転じ、
南赤道海流となってガラパゴスの海を西に流れる。
この冷たい海流のため、赤道下にしては、ガラパゴスの気温は低い。群島の中央、サンタ・クルス島南岸で、年平均気温は23.7℃である。赤道下の低地では世界中どこでも26〜27.5℃の範囲であるから、涼しさは格別である。9月はガラパゴスの冬にあたる。

ガラパゴス諸島は、南東の貿易風帯の中にある。1月〜4月、冷たい海流は南寄りに流れ、貿易風は弱まり、気温が上がり、雨量が多くなる。何年かごとに、北からの海流が強まると雨量は一層多くなる。この現象は一般にエル・ニーニョ現象と呼ばれる。

6月〜12月、冷たい海流は北によって群島を包んで流れるので、気温は下がり、貿易風は強く、低地の雨量は少なくなる。このように、ガラパゴスの季節は1月〜5月の雨期と、6月〜12月の寒気に分けることができる。
気温は雨期のほうが高い。年雨量は低地では600ミリ以下、場所によっては100ミリ以下だから、雨期といっても雨の日が続くことは、まずない。
貿易風が海抜の高い島に当たると、上昇して雲を生じ、雨滴となって降る。風が当たる側の高地では、このため雨量がずっと多くなる。サンタ・クルス島の南向きの斜面では、沿岸で388ミリ、中腹(194メートル)で1130ミリ、高地帯(620メートル)では推定1500ミリとなる。山地中腹は、こうして湿潤地帯となる。
ところが、貿易風は風下側には雨を多くはもたらさない。そこでは乾燥地帯が中腹からさらに高いところまでも続くことになる。同じ気候条件下では同じ植生が発達するから、サンタ・クルス島では、湿潤地帯に発達するキク科の高木、スカレシアの森林は、南側では海抜180〜280メートルになるが、風下側の北向き斜面では560〜670メートルと上方にずれている。


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