【彗星の構造】


Purple.gif (326 バイト)彗星は大きく分けて、核、コマ、尾の3つに分けられる。さらに、コマは我々の目に見える部分と、見えない部分(水素コロナ)に分けられる。また、尾はプラズマの尾と、塵(ダスト)の尾に分けられる。彗星が、太陽から遠く離れた位置にあるときには、明るさも暗く、尾もほとんど伸びていない。しかし、太陽に近づいてきて彗星が活発になると、彗星には次の部分が見られるようになる。

彗星彗星の構造

【慶應義塾大学天文研究会 田中和彦さん撮影 】

Purple.gif (326 バイト)1950年にホイップルによって、”汚れた雪だるま”説が提唱された。固体物質で、主に水、アンモニア、二酸化炭素などの氷と塵から成ると考えられている。半径1〜10q、質量10億〜1兆トンほどの、地球の山一つ分ぐらいの大きさ。彗星の活動の源、本体である。表面には、数百メートル程の起伏があると考えられている。太陽から離れた位置にあるときは、この部分だけが、太陽の光を反射して光り、恒星のように明るく見える。太陽に近づくと、ガスや塵がジェット状に出る。これが尾になる。このような領域は、核表面全体の一割程度と考えられている。ハレー彗星などの短周期彗星は、残りの部分は黒っぽく見える物質層でおおわれていると見られるが、すべての彗星がどのようになっているかは解明されていない。
コマ
Purple.gif (326 バイト)核を構成している水、二酸化炭素、アンモニア等の氷が太陽に熱せられるにつれて昇華し、周りの空間に広がっていく。核の内部にある塵の粒子もガスの流れによって、外部に放出される。この結果、核の周りに塵を含んだ球状に近い、分子の雲が作られる。これがコマである。コマは、彗星の大気に相当する。コマに放出された分子は太陽の紫外線により、光による解離や電離ー光反応ーが起こり、最終的にはイオンと電子になる。このとき、光による反応で明るく輝く。また、コマの外側では太陽風との接触により、プラズマの尾ができる。大きさは数万q〜数十万qになる。
水素コロナ
Purple.gif (326 バイト)1970年代以後、ロケットや人工衛星を利用した、地球の大気圏外からの紫外線観測が行われるようになってから確認された、可視光線では見えない半径100万から1000万qの巨大なガス雲。コマ内の水分子が光解離を受け、水素原子ができる。それが太陽紫外線を散乱して輝いている。
プラズマの尾(Type1)
Purple.gif (326 バイト)1000万〜1億q程の長さで、太陽の方向とは逆向きに、直線に伸びる尾。太陽風に伴う磁場の作用で、コマ内部のイオンや電子が引きずり出された結果生じると考えられる。イオンの速さは、秒速数十q程である。たいてい、青色をしている。肉眼で見た場合、彗星のうちで最も目立つ部分。
塵の尾(Type2)
Purple.gif (326 バイト)1000万〜1億q程の長さでプラズマの尾に比べ、一般に幅が広く緩やかにカーブしている。コマに放出された塵の粒子は、太陽からの引力に加えて、太陽放射(光)の圧力をうける。核本体に比べて、塵は大きさが小さいため、太陽放射の圧力を受けやすい。太陽引力と光圧は逆向きの力のため、太陽引力の力は、本体の核に比べ弱くなるため、核の起動より外側にずれ、塵は太陽と逆方向に加速される。たいてい黄色をしている。
 
★百武彗星の尾はガスが主な成分だが、ヘール・ボップ彗星は細かな固体の塵が主な成分。彗星の本体にガスが多いか、塵が多いかによって見える色が違ってくる。