● 硫黄酸化物（SOx＜ソックス＞）
二酸化硫黄（SO２），三酸化硫黄（SO３）など，硫黄の酸化物の総称です。大気汚染物質の１つとして生物に悪影響を与えます。
影響の例 ▼呼吸困難▼咳（せき）▼喘息（ぜんそく）▼気管支炎▼酸性雨
日本の４大公害病である「四日市ぜんそく」（1962年頃から発生）は，硫黄酸化物が原因である病気の代表的な例です。
二酸化硫黄の環境基準は「１日平均0.04ppm以下でかつ１時間平均0.1ppm以下であること」で，日本では1980年に基準に達していますが，東欧やアジアの発展途上国では硫黄酸化物の汚染が問題になっています。
● 化石燃料
石炭，石油，天然ガスなど，地中に埋まっている燃料の総称です。数百万年前の動植物が地中に埋もれて，高温・高圧で化学変化を起こして生成されたと言われています。ただし，石油と天然ガスは生物とは無関係に生成されたという説もあります。
エネルギー源として，世界の全消費エネルギー量の85％を占めていますが，使用にあたって次のような問題点があります。
- 長期的に使用していると，いつか必ず地中に埋まっている全ての量を使い切ってしまう
- 燃焼によって二酸化炭素が発生し，地球の温暖化を招く
- 燃焼で窒素酸化物・硫黄酸化物が排出され，酸性雨の原因となる
以上の理由から，将来，化石燃料を使わなくなる（使えなくなる）ことが予想され，その時のために，化石燃料に替わるエネルギー源の研究が進んでいます。
● 酸性雨対策調査
日本における酸性雨の実態とその影響を明らかにするためにおこなわれている調査で，環境庁がおこなっています。第一次（83年から87年）と第二次（88年から92年）に引き続き、現在93年から5年計画で実施されています。その調査は大気系調査、陸水系調査、土壌・植生系調査、総合影響調査によって構成されています。
● 酸性雨つらら
酸性雨によって溶かされたコンクリート中のカルシウムが，つらら状に固まったものです。
酸性雨は大理石やコンクリート，金属を腐食させます。よって建造物に大きな被害をもたらしています。ヨーロッパでは歴史的に重要な建物，石像などが溶けているのが発見され，大問題となっています。
● 酸性霧
酸性の性質を持つ霧のことです。雨の粒の大きさが小さいほど酸性度が強くなると言う研究報告もあり、なんと雨よりも霧の方が数十倍から数百倍も酸性度が強いのです。それは雨より霧の方が、空気中に漂っている時間がはるかに長く大気汚染物質を多く吸収するからです。しかし、酸性霧は採取法が困難なので詳しいことがまだわかっていないのが現状です。
● 硝酸塩
地下水，河川，湖沼に流れ込んで富栄養化を起こすので，水の汚染度の指標になっています。
● 大気汚染
人間の活動による物質の燃焼などで大気が汚されることを指します。具体的には工場や発電所，自動車などから排出される一酸化炭素，鉛化合物，重金属，フッ素化合物，アスベスト粉塵などが大気中に紛れ込んでしまうことです。火山噴火など自然に起こる活動で排出される物質で汚れることは，言葉の意味には含みません。
大気汚染を起こす物質のうち，特に次の物質は後に述べるような被害をもたらします。
- フロン：地球のオゾン層の破壊
- 二酸化炭素：地球の温暖化
- 窒素酸化物，硫黄酸化物：酸性雨
● 窒素酸化物（NOx＜ノックス＞）
一酸化窒素，二酸化窒素など，窒素の酸化物の総称です。酸性雨や光化学スモッグの原因となります。また，ガンの発病を促進する疑いも持っています。
二酸化窒素の環境基準は1日平均0.04〜0.06ppm以内ですが，大都市の道路周辺ではこの基準を越えていることが多いです。
● パックテスト
酸性雨のｐＨを調査する方法のひとつです。下記のように，道具さえ揃えば簡単に調査できます。
- パック（中に薬品が塗ってある・市販されています）にピンで穴を開ける。
- スポイトのようにして，中の空気を追い出した後，酸性雨を半分位まで入れる。
- 指定された時間がたったら，比色表でｐＨを調べる。
● pH
potential of
Hydrogenの略で，ピー・エッチあるいはペー・ハーと読み、水溶液中の水素イオンの濃度によって酸性の度合いが分かります。pHの値が小さいほど強い酸性です。純水は中性でpH7ですが、雨水は大気中の二酸化炭素を含んでいて弱酸性です。
● 硫酸イオン
酸性雨の原因になるイオンの１つです。
形成の過程
- 化石燃料の燃焼で，硫黄酸化物（SOx)ができる
- SOxが大気中で酸化して，硫酸（H2SO4）になる
- 硫酸が雲に取り込まれ，硫酸イオンと水素イオンに電離する