中国の貨幣




中国の貨幣の特徴は、ほかの国のように政治家、国王、文化人の肖像は1948年以降、 中国人民銀行が成立して、その同年に「人民幣」と呼ばれる貨幣を発行して以来 登場していない。
貨幣の表面に、不特定の労働者、人民を描いているのが大きな特徴である。 社会主義という皆平等という考え方、個人崇拝の思想を否定してきたことが起因すると いわれている。
裏面には低額券では中国人の好む花が、(ex.菊、牡丹、綿) 高額券では風景とデザイン化された花が用いられている。(ex.東北地方の油田)

その他の特徴として、表面中央の上部に「中国人民銀行」と漢語で書かれており その左上の隅には上からモンゴル語、チベット語、ウイグル語、チュアン語の 順序で「中国人民銀行」と「いくら」かの表示がされている。
全体としてデザインが、周囲に枠を描かず、券面全体を地紋模様で埋め尽くしていて 外への開放的な感じに仕上がっており、裏面に明るい中国人の好む赤い花が 使用されていて派手である。

それと券のサイズが
というように横長になっている。

券種は1.2.5分、1.2.5角、1.2.5.10元の10種だが実際は1.2.5分は硬貨化してしまい1.2.5角、 1.2.5.10元が主流である。


○1角券
テーマ「教育と生産労働との結合」

農村の人民公社に赴いた学生たちが、鍬などを持って農作業に出かける風景が描かれている。 裏面には菊の花が描かれている。


○2角券
南京の揚子江(長江)に掛かる全長6770mの長江大橋が描かれている。1969年に完成した物である。 橋の上には自動車、下には鉄道が通っており世界で3番目に長い橋として有名である。 裏面には牡丹の花が図案化されている。


○5角券
テーマ「紡織工場の生産」

近代的な工場で働く女子労働者を描いている。裏面には綿の花が描かれている。


○1元券
テーマ「トラクターを運転する女子労働者」

遠景に、大型のコンバインが動いて収穫作業を行っている所を描いている。 裏面は新彊地区における羊の放牧風景。馬に乗った牧童が描かれている。 農業にちなんで麦、米、大豆、綿、がデザイン化されて描かれている。


○2元券
テーマ「旋盤労働者の生産」

青年工員が、削った軸の径を測っているところが描かれている。 裏面は東北地方の油田の堅抗のやぐらの林立を描いている。石油産業とからめて、油の作り出せる植物として 油やし、ひまわり、ひま、ごま、がデザイン化されている。


○5元券
テーマ「鉄鋼労働者の生産」

男性工員の労働者姿が中央に描かれている。裏面には、露天採鉱の作業現場を描くとともにデザイン化した、 松、杉などの針葉樹が描かれている。


○10元券
テーマ「人民代表が人民大会堂を歩み出る光景」

労働者、軍人、ウイグル、モンゴル族など少数民族の代表がにこやかに書類などを持って 歩いている姿が描かれている。裏面にはこの人民大会堂のすぐとなりにある天安門の 全景と牡丹の花飾りを配置している。


ちなみに前述した現在は使われていない小額券は が描かれている。
●自論●
日頃、肖像の描かれているお札ばかり目にしていると中国の貨幣は絵画のように思える。 一枚のお札に中国の文化が表現されているようで大変素晴らしいと思う。 それとアジア系の貨幣は高額券によりその国の重要な物を描いている気がする。

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