お札に描かれている肖像画について
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お札にはいろいろな人の肖像が描かれているのはお分かりだろうが、それはなぜか?定説はないか?などという疑問を抱いたことはないだろうか。そんな疑問の答えとして、一般的に4つの理由が挙げられている。
- 偽造防止策
- 人物の顔は印象に残りやすいものなので、わずかな違いでも容易に判別できるから
- 人物像は風景などに比べて原版の模刻による偽造が難しい
- 模写による偽造も、肖像の精密な描写技術がふんだんに盛り込まれているので困難
以上のような理由から人物像は偽造防止策に良い。
- お札を使う人達に親近感を持ってもらうため
そのため、歴史的功労者・英雄・文化人など知名度が高く、多くの人たちに親しまれている人が肖像のモデルに選ばれる。
- お札の種類が多い場合、その金額や種類を簡単に判別できるようにするため
例えば、アメリカのドル札のようにすべて同じサイズで印刷の色まで統一されているお札の場合、人物の肖像が種類を判断する決め手になるからである。
- 政治的目的
ヨーロッパでは国王など絶大な権力を有する支配者が自分の肖像を彫刻したコインを発行してその権勢を誇示したが、コインの後に誕生したお札もその延長として肖像が描かれたということのようだ。
現在も、イギリス連邦の国々では元首のエリザベス2世の肖像が使われているし、発展途上国では現政権のリーダーの肖像を用いている例が見られる。
肖像が描かれている理由の傾向として、2のタイプは、スイス、ベルギー、イタリア、フランス、オランダ、オーストリア、ハンガリー、ノルウェー、スペインなどヨーロッパ諸国に多い。ちなみに、イギリスも裏面は文化人である。
一方4のタイプは、アメリカ、カナダ、メキシコ、コロンビア、ペルー、チリ、ボリビア、アルゼンチン、ブラジルなど、中南米諸国に多い。また、フィリピン、マレーシア、トルコ、イスラエルなどの東南アジア、ケニア、ザイルなどのアフリカ諸国、ソ連、ルーマニアなどの共産諸国にも多い
以上の4つを見た自分の意見・感想として、世界的に見て約5割が政治家(大統領・首相・君主・国王・革命家など)の描かれている紙幣であるため、4の意味が強いのではないかとおもう。しかし、肖像を用いないという国も比較的多い。
建物…スリランカ・エジプト・リビア
動植物…シンガポールの島と蘭・インドネシアなどの花と鳥・オランダのシギヤヒマウ
(想像上の)動物…香港のキリン、鳳凰とはねる蛙・インドのアショカ王のライオンの柱頭
お金というものは、ある意味その国の顔としてわたるものであるから、肖像でなくともその国のポイントとなるものを描いておく必要性があると思う
メキシコ、カナダ、オーストラリア、ノルウェー、西ドイツ、ギリシャ、スペイン、アイルランド、イスラエルのみと非常に少ない
男性優位というのが長く続いたせいもあるだろうが、女性の顔だとしわを増やすと汚くなってしまうし、少なくすると偽造防止の面で問題が出るのだろうか?
しかし、潜在的にレディファーストといってもセクハラがなくならないのと一緒で、男性優位というものがまだあるのではないだろうか?
<日本の場合>
1981年の改刷発表のときのお札肖像の希望調査の結果、
- 文化人…37%
- 皇族…25%
- 政治家…11%
- 実業家…3%
- その他…24%
となった。
その結果、明治の3文化人である夏目漱石、新渡戸稲造、福沢諭吉が肖像に採用された。
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