そうです。実際にやってみると、ピンホールの焦点は、針穴を出た直後から光の届く範囲(はんい)まで、無限(むげん)にあります。つまり、一つに決まった焦点がないのです。

だから、ピンホールを出た直後から光の届く範囲まで、どこに白い紙を置いてもきれいに映るわけです。

さて、どうして光はピンホールを通ると焦点を結ぶ(つまり像ができる)のでしょうか。レンズを通った光はレンズで曲げられて焦点を結びます。

では、ピンホールの場合はどうでしょう。電球をピンホールの前に置いて考えてみることにしましょか。

(イラストを提示)電球は、もともと四方八方に光を出しています。

でもそのすべてがピンホールを通るわけではありません。図のように、ピンホールを通ることができるのはほんの一部だけなのです。

ですから、ピンホールを通った光も、どうしても上下左右が反対になってやってくることになります。

電球のあらゆる場所から出る光のうち、ピンホールを通してやってこれるのは、逆さまに進む光だけだ、ということになります。

これがピンホールの効果なのです!!

このようにして、ピンホールはレンズと同じように光を集める効果が得られ、レンズがなくても写真が撮れるわけです。しかもレンズが焦(光の像を映し出す)を一つしか持っていないのに対し、最後実験で分かったように、ピンホールでは焦点が無限にあります。

ということは、ピンホールの精度さえきちんとしてつくれば、焦点きょりを考えなくても、誰もがきれいな写真を撮れるということです。

さあ、「ピンホールカメラにチャレンジ」のコーナーに進んで、あなたもピンホールカメラにちょうせんしてみましょう。