スポーツ現場でのプライマリーケア(1)

運動というのは人間が日常的に生活しているレベルを超えた負荷ですから、けがも多くなるでしょうし、普段の生活では感じないような症状を経験したりもします。

運動と関連した症状、例えば頭痛でも腹痛でも、深刻な問題と無縁であることがほとんどなのですが、それがスポーツ活動と関連して出現するとなると不安の種にもなります。正確な知識がないために、ささいなkとでせっかく健康増進などのために取り組んできたスポーツ活動から遠ざかってしまうのは大変残念なことです。
スポーツ活動中、「よくある」症状について触れ、その中に潜む重篤な病態の見分けかた...何が重要で、どういう時に病院へ行くべきか、をみていきましょう。


胸痛

運動中の突然死の原因のほとんどが心疾患であることを考えると、胸痛はもっとも注意すべき症状です。しかし、一般的に多いのは、肋骨やその周辺の筋肉の打撲・挫傷・炎症などといった筋骨格系に由来する痛みです。
テニスや野球、ゴルフなどのスポーツでも肋骨の疲労骨折が起こることが報告されていますから、はっきりとした受傷の原因がないからといって、心臓や肺などの内臓に由来する痛みということにはなりません。
このような筋骨格系に由来する痛みの特徴は、体動・せき・深呼吸によって増強し、同時に再現性のある圧痛を認めるということです。
いわゆる風邪に関連して気管支や胸膜の炎症も胸痛の原因となります。また、心膜の炎症なども同じように体動によって痛みは増強しますが、圧痛がないこと、通常は発熱など風邪の症状をともなうことが鑑別のポイントとなります。
さて、30歳以下のスポーツ選手で心臓による胸痛に遭遇することは極めてまれですが、中高年では狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患に気をつけていかなければなりません。あるレベルの運動で、再現性のある胸痛(典型的には前胸部の締め付けられるような痛み)が出現し、安静によって軽快することがあれば疑ってみたほうがよいでしょう。


典型的な労作狭心症の特徴



ここに気をつけよう、スポーツの落とし穴へ
スポーツ現場でのプライマリーケア(2)へ