
イルカも人間と同じほ乳類です。しかしどうしてイルカは水中で暮らし、長い間潜水していることができるのでしょうか。その秘密は呼吸の仕組みにあります。イルカは人間に比べてとても深い呼吸をします。人間は通常10〜15%の割合で酸素の交換をします。それに対してイルカは80〜90%の割合で酸素の交換が行われるのです。この値は、私達が激しい運動をした後の強くて速い呼吸の量と同じです。イルカは肺に吸った空気の9割近くを利用したくさんの酸素を血液に蓄えておくのです。その働きにより長時間潜水することができるのです。またイルカが深くもぐるためには、高い水圧に耐えることができる肺やろっ骨を持っていなければいけません。人間が普通、潜ることができるのは20m、せいぜい50mが限度です。しかしハンドウイルカなら300m以上潜ることができます。これはイルカの肺はやわらかく、よく伸び縮みし中に空気が残らない状態まで縮むので、高い水圧にも破れることがありません。ろっ骨は他のほ乳類に比べて数が少なく、よく動きます。高い水圧で肺が小さくなっても。ともに動くので折れないのです。またイルカは潜水病にもかかりません。潜水病とは、血液中の酸素などが気体のあわとなり、血管をつまらせる恐い病気です。人間は潜水中、高気圧で空気を絶えず吸うので、血液中に空気が多量にとけこみすぎて、潜水秒を引き起こしますが、イルカは潜水中に空気を吸わないので、血液中に空気がとけこみすぎることがなく、潜水病にもかからないのです。水中で生活するほ乳類はクジラの他にシロクマやラッコ、ジュゴン、オットセイなどがいるが、シロクマやラッコは陸地と完全に縁を切ってはいないし、ジュゴンは水中で一生暮らすが、クジラやイルカほど水中への適応は進んでいません。