Q3:声がわりはどうして起きるのか
大人の声でもなく子供の声でもない、中途半端な感じの声で話している男子中・高校生たちによく会います。この中途半端な声こそが、声がわりの季節の真っ最中なのです。ニキビともに思春期のシンボルです。
では、なぜ思春期になると声がわりをするのでしょうか。
発声器官である声帯は、少年少女時代は長さの差はなく、みんな同じような発声をしています。しかし、思春期にさしかかるとその声帯に急激な変化が起こります。それは性ホルモンの刺激による第二次性徴の現れにほかならないのです。声帯のある喉頭の変化もそのためです。
声がわりが起こるのは10〜14歳の間で、主に起こりますが、実は女性にも起こるのです。女性の場合は目立たないだけです。
この時期の男性の喉頭は、甲状軟骨の中央部が隆起して、いわゆるのどぼとけになるのですが、女性の場合は上下に伸びるだけなので、あまり目立ちません。
こののどぼとけがなぜ声がわりをさせるのかというと、前にも述べたように喉頭隆起は、甲状軟骨が前後方向に長く伸びたためにできたものです。だから、声帯もそれにつれて長くなっていきます。楽器もそうですが、長い弦は振動幅が大きくなり、音は低くなります。これは声帯にも言えることです。そのうえ、成長にともなって呼吸量の増加や、咽頭、副鼻腔が大きくなり、声の共鳴効果が大きくなるなど、これらの集積が声がわりとなって現れるのです。
<ちょっと豆知識>
声がわりに関連して・・・。
男女の声域を声楽で表わすと、男性では低いほうから順にバス、バリトン、テノール(テナー)となります。女性ではアルト、メゾソプラノ、ソプラノと区別されます。この区別も声帯の長さと張力 で決定されます。