Q5:おなかがなるのはどうしてか
日ごろ突如おなかがゴロゴロ鳴ったり、液状のものがおなかの中を激しく移動するようにおなかが鳴ることよくがあります。
<食べ物を消化するときの音>
胃や腸は、食べ物の消化を助けるために盛んに消化液を出し、伸縮運動などで食べ物とよく混ぜ合わせます。そして小腸や大腸は蠕動(ぜんどう)運動によって、この食べ物を移動させるのです。消化管の内容物(食べ物)の移行は、末端までこの蠕動によって行われていて、胃や腸の中には、つねに空気やガスが入っており、腹鳴は蠕動運動によって腸の内容物やガスと一緒に移行します。そのとき勢いづいて生ずる音がそれです。
コップに水を入れ、その水中のストローから空気を吹き込むとボコボコと音が出ます。この現象が腸内も起こっていると考えてよいのです。
<おなかが減るときの音>
また、腹鳴とは全然違う現象ですが、食後十数時間もして空腹が絶頂の頃ともなると、グーッという、かなり大きな音をおなかが発します。その音は他の人にもよく聞こえ、「おなかの虫が鳴る」と一般的によく言います。
普通、正しい時間を決めて食事をしているときは、胃腸はいつでも応じられるように準備しています。つまり、食べ物がいつ何時不意に入ってきてもいいように臨戦態勢ができているというわけです。ところが十数時間も絶食していると、胃腸は待ちくたびれて臨戦態勢を解除してしまうのです。このままでは消化器全体を維持するためのエネルギーが無駄になるので、戦線を縮小しなければならないのです。
この縮小というのが、文字通り胃や腸が小さく縮んでいくことなので、キューッやグーッという腹の虫の声の正体は、実はこの胃腸が縮小するときになる音だったのです。