Q7:悲しいときにどうして涙はでるのか


 私たちは悲しいときには目から涙を流してしまうことが多いです。泣こうと思っているわけではないのに涙が自然とこぼれてしまうものです。
 そもそも涙は、悲しいときだけに出てくるものではなく、目頭にある涙腺という分泌腺からつねに出ています。この涙によって目の乾燥を防ぎ、細菌やゴミを洗い流しているのです。この量はごくわずかで、一日に0.6ccほどにすぎません。一年分を集めてみても230ccと、缶ジュース一本ほどです。



<感情に関係なく涙がでるとき>

 このような涙も時として大量に分泌されます。悲しいときはもちろんですが、その他にもタマネギを切ったりするときや、煙が目にしみたり、コショウを大量に降りまいたときなどでも涙はでるものです。このように感情に関係なく涙が出るときは、ガスや煙などで涙腺を刺激されたときが多いのです。タマネギを切ったときには、切り口から一種のガスが出て、それが涙腺を刺激しているのです。



<感情によって涙がでるとき>

 では、感情が高ぶったときはどうでしょうか。感情が高ぶったときというのは、悲しいときに限らず、嬉しいときや怒ったときにも涙が出てくることもあります。このような激しい感情が起こると、体内の各器官の働きを調整している自律神経が興奮してしまい、涙腺のコントロールが緩んでしまうためです。動物に自律神経を興奮させる皮下注射をすると、みごとに涙を流させることができることによってでも明らかにされています。



<ちょっと豆知識>
 涙は10歳未満の子供がもっとも盛んに分泌し、年とともに衰え、40歳を過ぎるとこの半分になってしまいます。「年をとると涙もろくなる」というのは涙の量の問題だけではなく、感情を抑える理性の力が弱くなることが大きく関係しています。