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長さ約1.5メートルもある腸。小腸に続き肛門に至る ・食物から水分を吸収 ・糞便を形成する |
大腸は、盲腸から直腸までの長さ1.5メートルほどの部分です。ここでは、腸液の分泌も栄養の吸収も小腸ほど活発には行われません。たとえば大腸で吸収される水分の量は、小腸の20〜30分の1ほどにすぎません。大腸は、一体どのような役割をしているのでしょうか。
- 大腸の働き
食物が口に入って小腸に通り抜けるまでの間に、消化管から分泌される液の量は案外に多いものです。口から取り込まれる水の量は、一日あたり約1.5リットルですが、胃液が3リットル、胆汁と膵液を合わせて1.5リットル、そして腸液が2.4リットルほど加えられます。これらは95パーセントが小腸で吸収されますが、その液の量は一日あたり8リットルにも及び、大部分は実は飲んだり食べたりした水分ではなく、消化管から分泌されたものなのです。
こうして食物が大腸にたどり着く頃には栄養分の吸収が終わって、ドロドロのお粥状の内容物から水分を吸収して、しっかりした糞塊を形成するのです。大腸で水分がよく吸収されないと、下痢になってしまいます。
大腸を通ってでき上がった糞塊には、消化されないで残った食物の残りかすのほかに、腸の粘膜から脱落した上皮細胞、腸内細菌、および殺菌が作り出したさまざまな物質が含まれています。
大腸の中には、細菌がたくさん住みついています。腸内細菌には、消化されずに残った炭水化物やたんぱく質などを、分解する働きがあります。大便は、特有の色やにおいを持っていますが、これは腸内細菌の分解作用によって生じた物質が、その原因になっています。細菌がアミノ酸を分解して生じたインドールやスカトールは、大便の悪臭のもとになります。
また、胆汁の中のビリルビンが分解されて、ステルコビリンやウロビリノーゲンという物質が生じ、大便の特有の色のもとになります。肝臓の病気で、ビリルビンが腸に排出されなくなると、便が白っぽくなってしまいます。
草食動物における腸内細菌の働き
腸内細菌は、ウシやウマのような草食動物では、とても大切な役割をします。植物の線維の主成分であるセルロースは、消化酵素では分解されません。草食動物の大腸はとても長く、ここに住み着く腸内細菌が、植物の線維の主成分であるセルロースを分解してくれます。草食動物は、腸内細菌の助けによって、植物の線維を栄養源として利用することが出来るのです。