血液のはたらき




血液のしくみ


  • 血液の成分

    血球
     血液中の固形の成分。
     赤血球、白血球、血小板の3つがある。

    血しょう
     血液中の透明な液体。淡黄色。

  • 各成分の特徴と働き<

    *赤血球
     骨の中の骨髄で作られる1個の細胞。血液中に最も多く含まれる。

    (1)形…中央に窪みのある円盤状。核はない。
    (2)働き…ヘモグロビンという色素を持ち酸素を運搬。

    ヘモグロビン->鉄を含んだ色素。赤血球が赤いのはヘモグロビンを含むため。

    *白血球
     赤血球と同じく、1個の細胞から成る。

    (1)形…アメーバ状で赤血球よりも大きい。
    (2)働き…血液中を動き回り、体内に入ってきた細菌を食い殺す

    *血小板
     細胞の一部がちぎれてできたもの。

    (1)形…不定形。赤血球よりも小さい。核がない。
    (2)働き…血液の凝固に関係する。

    *血しょう
     淡黄色の透明な液体。約90パーセントが水。

    (1)働き…養分を溶かし込み、各組織へ運ぶ。
        呼吸で生じた二酸化炭素、不要物を運ぶ。

  • 血しょうと組織液<

     血しょうの一部が毛細血管からしみ出し細胞の間にたまったものが組織液

  • 細胞と組織液での物質の交換

    酸素や養分
     血液中の酸素や養分は組織液に入り細胞膜を通して細胞に取り入れられる。

    二酸化炭素や不要物
     細胞から組織液中に出された二酸化炭素や不要物は、血管に入り血液により体外へ運搬。



ちょっと難関コーナー

 血管の中を流れる血液は、単なる赤い液体ではありません。さまざまな細胞を含んだ生きた液体です。この血液は、私たちの身体のすみずみにまで酸素と栄養を送り、二酸化炭素や不用な物質を回収します。また細菌やウイルスが侵入してくれば撃退し、血液を運ぶ血管の壁にほころびがあればそれを修理し、さらに身体の状態にあわせて器官の働きを調節するための情報も運びます。血液は、身体の内部の環境を保つためなら何でもする、万能の液体なのです。

■血液の成分とその働き

 血液の成分の半分近くは細胞で、血球とよばれます。血球の大半は、赤血球という核のない細胞で、1立方ミリ中に400〜500万個あります。身体の血液全体では、20〜25兆個にもなります。赤血球は、直径8ミクロンほどの平たい円板の形で、ヘモグロビンという酸素を運ぶタンパク質を、ぎっしりと含んでいます。この赤血球が少なくなると酸素を運ぶ血液の力が弱くなり、貧血が起こります。
 また血液には、白血球としてひとまとめにされるさまざまな細胞が含まれています。白血球には、主に殺菌物質を放出する顆粒球、異物を特異的に攻撃する抗体を作るリンパ球、また細菌などを取り込んで消化するマクロファージなどの種類があります。白血球の数は、1立方ミリあたり6000個ほどです。

 血液にはこれ以外に、細胞の断片のような血小板が含まれています。血管の壁の内皮細胞が傷つくと、この血小板が集まって、傷口を一時的に塞ぎます。さらに血液中のフィブリノーゲンというタンパク質が変化して糸状のフィブリンができます。その糸の綱目に赤血球や白血球がからみついて血液の固まりができます。この血液の固まりによって、傷口が塞がれ出血が止まるのです。
 血液の中の液体の成分のことを、血漿(けっしょう)といいます。血漿の中には、塩素やナトリウムなどのイオンのほかに、ブドウ糖やアミノ酸といった低分子の有機物、さらにさまざまなタンパク質も含まれています。血液を固めるフィブリノーゲンも、こういったタンパク質の一種です。
 血液のタンパク質の大部分は、アルブミンという比較的小さな分子です。このアルブミンは、毛細血管の中に水分を引き止める働きをします。またグロブリンというさまざまなタンパク質もあります。その中でもガンマ=グロブリンは、細菌などの異物を特異的に攻撃する抗体です。さらに抗体が反応したときに、その作用を助ける補体も血漿の成分です。
 内分泌腺から分泌されて全身の細胞に働きかけるさまざまなホルモンも、血漿の中に含まれていて運ばれていきます。身体の細胞を包みこむ内部環境という世界は、血液によって維持されているのです。