膵臓の構造とはたらき




膵臓のしくみ


■膵臓のつくり

 腹腔の上部で後腹壁に接していて、胃の後方にある
 横の方向に細長い形で、右側は十二指腸に接している

■膵臓の働き

 膵液をつくる
 ランゲルハンス島で血糖値を低くするインスリン(内分泌物)がつくられる




ちょっと難関コーナー

■膵臓の構造

 膵臓は腹腔の後ろの壁の中にあり、腹部の内蔵の中で最も深い位置にある臓器です。胃に続く十二指腸が、「コ」の字を逆にしたように走り、その真ん中のところにはまりこんでいます。「コ」の字の縦棒のところに膵臓の導管である膵管が開いていて、そこから消化液を十二指腸に送り出します。肝臓からの胆汁を運ぶ胆管が膵臓にもぐりこんで、十二指腸に開く直前のところで膵管に合流しています。膵臓のガンなどで黄胆になるのは、胆管の膵臓の中を走っている部分が塞がれるためです。

■膵臓の働き1

 膵臓から分泌される消化液(すい液)は、多量の重炭酸ナトリウムを含んでいて弱アルカリ性なので、胃酸を中和する働きがあります。また炭水化物やたんぱく質、そして脂肪を分解するさまざまの酵素を含んでいます。食物の消化は、十二指腸で大きく前進するといえます。
 膵臓は消化酵素を分泌していても、ふだんは自分自身を消化しません。トリプシンなどのたんぱく質分解酵素が不活性な前駆物質の形で分泌されて、小腸の中ではじめて活性をもつからです。しかし、膵管が塞がったりしていったん膵臓が炎症すると、膵臓は自分自身を急速に消化し始めます。膵炎が治りにくいのはこのためです。
 膵液を分泌する外分泌部の組織は、枝分かれする導管とその末端につながる腺房からできています。膵液の中の消化酵素を作るのは、もっぱら腺棒の細胞の仕事です。これに対して、水分とアルカリイオンは腺房と導管の両方から分泌されます。
 膵液の分泌は、おもに消化管のホルモンによって刺激されます。食物が十二指腸に入ると、粘膜が刺激されて消化管ホルモンが血液中に放出されます。その十種のパンクレオザイミンは、腺房の細胞を刺激し、セクレチンは導管からの分泌を刺激します。

■膵臓の働き2

 膵臓の組織には、膵液を作る外分泌部のほかにホルモンをつくる内分泌部が含まれています。内分泌部は、膵臓の中に島状に点在するので、膵島、あるいはランゲルハンス島とよばれています。
 膵島には二種類の内分泌細胞があり、そのうちα細胞グルカゴンβ細胞インスリンを分泌します。これらはともに、肝臓や全身での糖の代謝を調節する、非常に重要なホルモンです。

■膵臓に関する病気

  インスリンが欠乏すると、糖尿病になってしまいます。この病気では、全身の細胞はブドウ糖を取り入れることができなくなって、血液中のブドウ糖の濃度が上がり、尿の中にブドウ糖が大量に出てしまうのです。