臓器移植
- 臓器移植とは
人の体は日常の生活の中で機能が低下したり、事故や病気で機能を失うことがあります。機能の低下を補うものとして、身近には眼鏡や入れ歯などがありますが、臓器が一旦その機能を失うと薬剤や機械で代替することはたいへん難しくなります。臓器移植とは、心臓、肝臓、肺、腎臓などの臓器がほぼあるいは全く機能しなくなり、移植でしか治療できない人の臓器と入れ替えて、回復させる治療法です。 医師と患者だけではなく、第三者の善意による臓器の提供がなければ成り立たない医療なのです。
- 日本の移植の特質と現状
日本の臓器移植は大部分が腎臓移植で、他には少数の生体部分肝移植と膵臓移植(通常、腎臓と同時に移植する)が行われています。脳死での臓器摘出を前提とする、心臓移植、死体肝移植は行われていません。また腎臓移植のうち、生体腎移植が70%前後で死体腎移植は30%前後です。
生体肝移植は、患者の親族などが肝臓の一部を提供するもの、生体腎移植は同様に2個の腎臓のうち1個を提供するものです。生体肝移植が唯一の肝移植として行われている点、腎移植のうち生体腎移植の比率が大きい点は、いずれも日本特有の現象です。
腎臓移植の数は1989年の802例をピークに減少し、1992年は524例となっています。生体腎臓移植の減り方が大きいですが、その理由としては、近年臓器移植法が論議されているため、法律が制定されれば死体腎移植が増え、親族が自らの腎臓を提供しなくてもすむのではないかという期待によるものと考えられています。