第3編 遺伝と変異
第1章 メンデルの法則
A メンデル
メンデルの実験
メンデルはエンドウを使って、遺伝に関する実験を行って、遺伝がある法則に従っていることを 発見した。
*大切な言葉*
形質・・・・・・・生物個体の性質のこと。色、形、大きさなど
対立形質・・・種子が丸系、しわ形のように対をなす形質のこと
遺伝子・・・・・染色体にあり、遺伝する形質を規定する因子
B 一遺伝子雑種
メンデルはまず純系のエンドウを使って対立形質をもつもの同士を交雑させた。エンドウは普通、自家受精(同一の花の中の雌しべと雄しべが受精すること)を行うので、この交雑は人工授 精になる。
結果1 すべての雑種第一世代(F1)は片方の親 (P)の形質だった。
たとえば、100個できた種子はすべて丸形だった。このとき丸形の形質を優性形質、しわ形を劣性形質という。
メンデルの優性の法則!!
できた雑種一世代を自家受精させた。
結果2 雑種第二世代(F2)はPの形質がだいたい
3:1 で現れ、F1で現れた形質が多かった。
以上のことを遺伝子で考えると、
R 丸の遺伝子
r しわの遺伝子
対立遺伝子は分かれて別の配偶子に入る。(相同染色体(遺伝子)に乗っているから)
メンデルの分離の法則!!
実際に表に現れる形質を表現型、遺伝子の構成を遺伝子型という。
同一の対立遺伝子をもつ個体(rr、RR)をホモ接合体
ちがう対立遺伝子をもつ個体(R r)をヘテロ接合体
遺伝子と染色体の関係
対立遺伝子は相同染色体にある。
減数分裂のときに相同染色体が別々の細胞にはいるので一対の対立遺伝子が別々の配偶 子にはいる。
C 二遺伝子雑種
2対の対立形質に注目して交雑したとき、得られる雑種を二遺伝子雑種という。
表現型は
9 : 3 : 3 : 1 に分かれる。
この結果によって1対の対立遺伝子のみに注目してみると 3 : 1 に分離している。よっ て、メンデルは2対以上の対立遺伝子はそれぞれ独立に配偶子に分配されると考えた。
メンデルの独立の法則!!
ただし、この独立の法則2対の遺伝子が違う染色体上にあるときのみ成り立つ。
検定交雑・・・ある個体の遺伝子型を調べるための方法。
劣性ホモとかけ合わせる。植物の改良などのために行われる。
D いろいろな遺伝
1 一遺伝子雑種の相互作用
不完全優性・・・優劣の関係が不完全な場合、Rrのようなヘテロの表現型が両親の中間の性質を表す。またこのような雑種を中間雑種という。
致死遺伝子・・・個体を死にいたらせる遺伝子。優性ホモで致死
複対立遺伝子・・・3種以上の遺伝子が対立関係にある遺伝子。血液型はA、B、Oが対立している。
2 二遺伝子雑種の相互作用
2つの対立遺伝子が働き合って1つの形質を表現する。〔AB〕:〔Ab〕:〔aB〕:〔ab〕は
9:3:3:1 になるが表現型 15:1 ではない。
補足遺伝子・・・2つの遺伝子が補足的に働いて1つの形質を表す場合。
条件遺伝子・・・2つの遺伝子が1つの形質に働いている場合、性質を変えることのできる働きのある遺伝子。