- ウラン採掘
日本には中国地方や中部地方の一部の地域にウラン鉱石があるのが知られています。しかしその量はごくわずかで必要なウランのほとんどを海外から輸入しています。そこで日本は長期計画購入、自主的な探鉱活動、鉱山開発への経営参加などウラン資源の安定確保に努めています。代表的な活動を行っているのは核燃料サイクル機構です。現在サイクル機構ではカナダのクリスティーレイクで鉱床調査が、同じくカナダのプリンセスメリー、ウォーリー、ドーンレイク、クローズレイク、ウィーラーリバー、アメリカのトライステート、オーストラリアのアーネムランドウエスト、中国の遼東で共同調査が、オーストラリアのマルガロック、アフリカのテッシリ、カリバレイクで鉱区維持が行われています。
- ウラン濃縮
転換作業により生成した六フッ化ウランを原料シリンダにいれて濃縮工場へと輸送されます(輸送には48Yシリンダを使用し輸送時の安全を確保しています)。運ばれてきた六フッ化ウランは発生槽に入れられます。この中では六フッ化ウランを暖め固体から気体にし遠心分離機に供給します。カスケードと呼ばれる作業をします。これは一台の遠心分離機で濃縮される割合はごくわずかで、目標の濃縮率に到達するためには何回も遠心分離機にかけなければなりません。この何回も遠心分離機にかける作業を連結して効率を上げる事がカスケードです。この作業が終わると劣化六フッ化ウランを回収する廃品回収槽と、濃縮した六フッ化ウランを回収する製品コールドトラップとにわかれます。どちらの六フッ化ウランも冷却し気体から固体へにします。製品コールドトラップに入れられた六フッ化ウランは再び暖めて気体にし製品回収槽に移送されます。製品回収槽では濃縮六フッ化ウランを冷却し気体から固体にして回収します。回収された製品は均質槽にうつされそこで温めて液体にし均一化した後、気体となり製品シリンダ(30Bシリンダ)に移送されます。製品シリンダないに入った六フッ化ウランは冷却され固体となって回収されます。
- 注:遠心分離機の仕組み
- 遠心分離機は脱水機の原理と同じです。内部では回転胴が超高速で回転していて内部に送られた六フッ化ウランガスは重力の何千倍もの力の遠心力で回転胴に押し付けられます。このとき重いウラン238の割合が高い六フッ化ウランが外側に押され、外側はウラン238の割合が高くなり内側はウラン235の割合が高い六フッ化ウランガスが中心部に集まります。そして中心部からウラン235の割合が多い六フッ化ウランガスを抜き取る事で濃縮ウランがえられます。
- 成型加工
まず粉末のウランを各種の粉末の特性により必要に応じて粉砕、予備成形、均一混合などの粉末処理を行います。処理された粉末を自動的にロータリープレスに供給して、コントロールした圧力のもとで成形します。次に、加圧成形されたペレットは割れや欠けを防ぐため自動ソフトハンドリングシステムで耐熱性のモリブデン容器に積載し、1700℃〜1800℃の高温で焼き固め耐熱セラミックとします。この作業を燒結といいます。燒結ペレットは砥石にとって高速で精密に削られ、ミクロンのオーダーで直径を仕上げます(研削砥石と調節砥石にはさまれた形で削られる)。最後にペレット検査をされます。ペレットは全数外観検査を行うとともにウラン濃縮度分析、不純物分析、断面試験などによって品質を確かなものにしています。
完成したペレットはウラン235の濃縮別に燃料棒の所定領域にコンピュータとOCR(光学的文字読取機)で正確に自動装填されます。その後燃料棒に5〜10気圧のヘリウムガスを封入し、被覆管と上部端栓を溶接チャンバー内で精密にアーク溶接します。そしてそれを燃料棒検査します。検査では、燃料棒の寸法、曲がり、溶接部の健全性、ペレットの濃縮度、外観などを最先端の非破壊検査統合システムによって行っています。
燃料棒はヘリウムリークテストにより漏れのないことを確認されます。その後8行8列の枠(原子炉の型によって大きさは異なる)を持つ精密なスペーサーにコンピュータで照合されながら一本一本正確に自動挿入されます。部品には上から上部タイプレート、燃料棒、スペーサー、ウォーターロッド(これは燃料棒と一緒に束ねられている)、下部タイプレートとなっています。燃料棒以外の部品についても高度の機械加工を施され厳しい検査を経ています。完成した燃料集合体は検査員により目視検査を行われます。
- MOX燃料加工
原料は硝酸プルトニウム溶液、硝酸ウラニル溶液でそれぞれ始めにプルトニウム受入計量槽、硝酸ウラニル受入計量槽に入れられ、別々に貯蔵されます。次に両方とも混合槽に入れられ続いて混合液貯蔵槽を経て中間槽にためられます。その後マイクロ波脱硝過熱器で加熱され、破砕機で砕かれます。焙焼還元炉で一回落ち着かせ、その後粉砕機でさらに細かく砕かれます。篩分機にかけられふるいわけし、中間貯蔵容器にいれ、中間貯蔵庫に保管されます。それを混合機にかけ充填し、粉末缶にためられ貯蔵容器にうつされます。これでMOX燃料のおおもとのプルトニウム・ウラン混合酸化物粉末が完成します。ここからは軽水炉で使用されているウラン燃料と一緒でペレットに焼き固められ、燃料被覆管内に密閉されて燃料棒となり、燃料集合体に組み立てられて使用されます。
- 再処理
使用済み燃料は原子力発電所と再処理工場のプールで合計4年以上貯蔵されます。これによって放射能の量は数百分の一に減衰します。次に使用済み燃料を3〜4cmの小片に切断します。せん断機は厚いコンクリートの壁に囲まれた部屋(セル)に設置されていて作業は外部から遠隔操作で行われます。この時被覆管などは別のところに取り除かれ安全に保管されます。使用済み燃料を溶解槽で硝酸により溶かします。そして有機溶媒を使ってウラン溶液、プルトニウム溶液、核分裂生成物(高レベル放射性廃棄物)とに分離します。ここで核分裂生成物(高レベル放射性廃棄物)は取り除かれガラス固化して安全に保管されます。次にウラン溶液、プルトニウム溶液それぞれから微量に含まれてしまっている核分裂生成物を除去し精錬します。ウラン溶液、ウラン・プルトニウム混合溶液から硝酸を取り除く脱硝を行います。そしてそれぞれウラン酸化物製品、ウラン・プルトニウム混合酸化物製品としてステンレス製容器に封入して貯蔵庫におかれます。