3.台風による主な影響

 

台風による風

台風は前述のとおり夏から秋にかけて日本列島を襲うことが多く、その時期の日本の気圧配置は以下のようになっています。

太平洋上の小笠原気団(海洋性熱帯気団)とシベリア気団(大陸性寒気団)の相互影響により、これらの間に南向きの風が生じることになります。また、台風の風向きは反時計周りに台風の目に向かって風が吹いているため、台風の目の東側ではそれら二つの風が干渉しあって、猛烈な風が吹くことになります。逆に台風の目の西側ではこれらの風がお互いに打ち消し合うため、風は弱まります。

さらに、自分のいる位置が台風の目の東側である場合、風は台風が近づくに従い東→南→西向きと時計周りに風が変わります。また西側の場合は、東→北→西と、反時計周りに風向きが変わります。

 

台風による降水量

台風は風だけではなく、大量の雨ももたらします。熱帯地方で吸収した水蒸気により中心部では約10kmもの厚さの雲を作ります。さらに、上で紹介したように高気圧と寒気団による南からの湿った風のために台風の目の東側では降水量が増します。よって、台風が東側を通過するときには西側に比べて比較的風は弱く、降水量も減るのです。

また、台風の定義を外れ、「熱帯低気圧」になったとしても、依然として降雨による水害には警戒が必要です。

さらには、台風の進行方向(北側)に前線がある場合、台風により湿った空気がもたらされるため、前線の活動が活発になり、大雨を降らすことがあります。また、中心から200km〜600kmのところでは外側降雨帯というのが発生し、激しいにわか雨や、雷雨があり、竜巻を伴うこともあります。

 

台風による波

波は風が吹いたことによってその場所に発生する「風浪(ふうろう)」と,他の場所で発生した風浪が伝播したり,あるいは風が静まった後に残された「うねり」の2つに分類されます。そして,風浪とうねりを合わせて「波浪(はろう)」と呼びます。

台風の中心付近では10mを超える高波になることがあり、さらに風浪とうねりが交錯して複雑な様相の波になります。また、南側に開いた湾の場合、台風が東から近づくに連れ高潮が発生しやすくなります。北側に開いている場合は湾の中ではあまり風浪による影響はないが、湾を出るとすぐにその影響を受けることになります。