≪肯定側立論の実例≫

 

【使用上の注意】

この立論はかなり気合を入れて書いたものなので、読むには疲れるかもしれません。

面倒くさいと思われる方は、サッと流して読んでもらって結構です。

ここでは立論の流れや進め方の雰囲気を味わってください。

もちろんじっくり読んでいただければ、立論の組み立て方の参考にもしてもらえると思いますが・・・。


テーマ『原子力発電は地球的規模の環境問題を解決する上から推進されるべきである』 より抜粋

肯定側立論(5分)

 それでは、『原子力発電は地球的規模の環境問題を解決する上から推進されるべきである

と言うテーマに対する肯定側の立論を述べていきます。

 まず肯定側の提示する哲学は、≪環境保全は急務である≫ということです。

 定義ですが、地球的規模の環境問題とは、『人的要因により及ぼされた、地球全体の環境の変化』と定義します。

 それではまず、地球的規模の環境問題とは具体的に何なのか、を分析します。

定義にも述べたとおり、地球環境の変化とは、ほぼ例外なく人的要因により発生しています。

大気汚染・海洋汚染・酸性雨問題・温室効果・森林破壊 などです。

地域に限った問題などを含めると、さらに様々な問題をかかえている状態です。

また、これらの環境問題を『現在のエネルギー発電』と言う観点から見たとき、現在の発電手段の環境への影響はお世辞にも良いとは言えません。

ではここで『現在のエネルギー発電』と言う観点から見たときの問題点を、日本の発電状況を例にして述べます。

現在の日本の発電は、石油・石炭・天然ガスなど、化石燃料を使ったものがその8割ほどをしめています(1996年度調べ)。

日本のCO2排出量の9割以上が、その化石燃料の消費にともなうものである以上、発電によるCO2排出は無視できない問題です。

それは、温室効果をもたらす原因の一つであるからです。CO2削減を目指すならば、発電方法の抜本的改革が必要であると判断します。

また、化石燃料の使用による亜硫酸ガスなどの発生や、それにともなう大気汚染・酸性雨問題なども深刻な問題となっています。

そこで私達の推進するものが、原子力です。

この発電方法のメリットは『発電時に、CO2や亜硫酸ガスなど、環境に影響を及ぼすようなものが全く出ない、クリーンなものである』と言う事です。

原子力発電におけるデメリットと言えば、『放射能汚染・核廃棄物問題』が、主にあがります。

しかし、それはあくまでも管理や技術の問題であり、発電所はそのようなデメリットを解消するため、何重にもセーフティーを設けているのです。

最後に原発推進のための手段として、

『原子力発電のクリーン性や安全性についてを、もっと大きくアピールする。』と言うものをあげたいと思います。

原子力発電と言うと、危険なイメージを持ちがちな人が大勢いる事は事実です。

しかし、現在技術は日々進歩し、発電所のトラブル報告件数も、年々減ってきています。

『原子力エネルギーは環境に優しい』・『安全である』と人々に認識されれば、今後の原子力発電の推進に大きく影響を与えます。

また、原子力発電と環境への問題を考える事により、環境保全について、人々がもっと関心を示すようになると言う事もあるでしょう。

それは省エネなどに対する人々の意識変革の第1歩になり得るものであると考えます。

人によって及ぼされた環境問題は、人によって解決されるべきです。

その解決策の一つとして、私達は原子力エネルギーの利用が非常に有効な手段であると考えるのです。

 


 

以上、私が大学の授業において、実際にディベートに使った『肯定側立論』の原稿です。

1.(哲学)・(定義)を最初に述べ、

2.その(定義)にそって(論理的展開)をし、 

3.いくつかの(プラン)をあげ、 

4.その(プラン)のメリットを論理的に説明する。

5.そして、まとめる。

 

基本はこのような流れで良いと思いますが、私の実例がはたしてそのような構成になっているのかはちょっと自信ありません。

読んでもらえれば,流れは伝わると思うのですが…

 

何にしても、1999年12月現在、このテーマにおいて、肯定側は異常に不利ですね。
ここしばらく、発電所関係の不祥事が続いていますから、私のあげているメリットやプランが全く説得力の無いものになっていしまっています。

この原稿を使っていた当時は、なかなかすばらしい出来だと思っていたのですが、今使ったら確実に負けてしまうでしょうね。

 

多少難しい実例だったかもしれませんが、慣れてしまえばこの位の立論は作れると思います。

それから、この実例を使って、『否定側反対質問』の練習なんかもしてみてください。

安全性への疑問とか、いろいろ追及できるような穴があるでしょうから。

 

 

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