放射線が与える人体への影響
1.子供の甲状腺ガンの増加
甲状腺は、体や脳の発達に不可欠な甲状腺ホルモンを作る重要な器官です。チェルノブイリ事故により放出された放射性物質の一つヨウ素131 は、体内に入ると甲状腺に蓄積し易く、ガンを引き起こす原因になります。その結果、甲状腺ホルモンの分泌異常が起き、成長期の子どもの体や脳の発達が遅れてしまう恐れがあります。チェルノブイリ型の甲状腺ガンは、通常のガンに比べて進行が早く、転移しやすいという特徴もあります。
2.妊婦の出産異常
キエフ小児・産婦人科研究所では、事故直後から汚染地域に住む妊婦2万人以上について、出産に関する詳しい調査を続けてきました。その結果、汚染地域の妊婦の貧血が事故前に比べて10倍に増えた他、死産や早産が多く発生していることが分かりました。出産異常の原因を更に詳しく分析してみると、子宮内の出血や、早すぎる破水などが増える傾向にあり、主に母体の異常が死産や早産を引き起こしていることがわかりました。
3.人々の身体異常
事故処理員たちの間に心臓病、精神や神経障害、ガンが多発しています。ガンの発病率は一般の人の3倍で、4人に1人の人は労働不能の状態に陥っています。そして、30代の人達がまるで50代のような体になっていると結論づけているのです。この調査では更に将来予測を試みていますが、その結果、事故のあった年の処理員の100%が、西暦2000年には労働不能状態に、更にその時の平均死亡年齢は44.5歳になるだろうと報告しています。