松尾剛次博士へのインタビュー

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松尾剛次博士へのインタビュー
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山形大学教授である松尾剛次博士(東京大学、文学博士)にこれからの教育などについてインタビューしました。

 質問者(松尾剛行):あなたは、教育者として、いままで、どのような活動をなされてきましたか?

 松尾剛次(以降松尾):山形大学にて二十年間教育と研究に従事してきました。鎌倉新仏教とは何か、日本中世の日本の都市とは何かについて研究してきました。『鎌倉新仏教の成立(吉川弘文館)』、『勧進と破戒の中世史(吉川弘文館)』、『中世都市鎌倉の風景(吉川弘文館)』、『中世の都市と非人(法蔵館)』、『仏教入門(岩波ジュニア新書)』、『救済の思想(角川選書)』、『鎌倉新仏教の誕生(講談社現代新書)』、『中世都市鎌倉を歩く(中公新書)』、『太平記(近刊、中公新書)』等、たくさんの本を書いて中世の都市や鎌倉新仏教とは何かを明かにしてきました。

 質問者:まず、大学の教員として、生徒を教えるに当って、重要なことは何か教えて下さい。

 松尾:まず、第一に、学問をすることは楽しいんだという事を伝えたい。第二に、学生の興味、関心、能力に合った教育を行う。第三に、教育は共育である。第四に、情けは人のためならずという事を教えたい。この4つです。

 質問者:では、これからの教育に必要な物は何かを教えて下さい。

 松尾:個性の尊重でしょう。つまり、興味、関心、能力の違いを認め、学生の個性に合った教育を行う。これが重要です。

 質問者:今、教育が荒廃しているとよくいわれますが、山形大学の学生さんについてはどうでしょうか?年々、授業態度や、学力のレベルが低下しているなどという事はありませんか?

 松尾:英語が二次試験の科目から無くなったので、英語力が落ちたというのは、事実ですが、授業態度は今までと同じです。人それぞれなんです。

 質問者:では、一般的に、教育が問題だといわれていますが、その原因をどう考えますか?

 松尾:個性の尊重がなされていない、悪しき平等主義がはびこっているからです。能力の違いを認めていない事が問題なのです。人それぞれに、興味、関心、能力が違うのです。

 質問者:国立大学が、独立行政法人になりますが、そのような改革についてはどう思われますか?

 松尾:利益を生み出さない人文系の学部にとっては効率を求められる独立行政法人化はあまり良くはないでしょう。だが私は教育研究の場における改革の大いなるチャンスとして考えています。従来は、国立大学と呼ばれた環境条件にあぐらをかき、学生の教育よりも自己の研究に努める傾向があった。が、改革以降は、学生の教育及び研究の両面において成果を上げることが期待されており、教育研究における、一層の努力が求められている。それ故、やり方によれば、大学という教育研究の場が活性化する可能性もあると考えている。

 質問者:教育基本法が改正されるかされないかの議論もありますが、どう考えますか?

 松尾:現在の教育基本法にひとまず満足しているのであまり変えないで欲しい。現在の学生に対しては、道徳を求めるよりも、彼らの才能を伸ばすほうが優先されるべきだろう。

  質問者:これからの教育には、情報教育がどんどんはいるといわれていますが、情報教育についてどう思われますか?

 松尾:情報教育というのは、これからの情報化社会を生きていく上で重要な意義を持つと考えますが、あくまでもその生徒、学生の個性を尊重し、興味、関心、能力に合った情報教育を進めるべきと考えています。

 質問者:最後に、子供達へのメッセージをお願いします。

 松尾:勉強をするという事は楽しいことであるが,己の才能を伸ばすために,ある程度、勉め、強いられる事は必要不可欠である。だから、興味を持ったものには、努力せよ!人間関係のあり方を理解し、勉強することも勉強である。

 質問者:忙しい中、ご協力ありがとうございました。



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