【解説】 インドラ神の乗っている白象。巨大な体で四本の牙を持つ。「大海から生まれたもの」の意で、アイラーヴァナとも呼ばれる。神々が不死の霊水を求めて大海をかき回した時に生まれたので、このようにいわれる。 【別名】 アブラマータンガ(雲の象)、アルカソーダラ(太陽の兄弟)、ナーガマッラ(象の力士)など。 |
【解説】 アヴァンティカーともいい、七代聖都の一つであるウッジャイニーのこと。 |
【解説】 ウールヴァの子孫と呼ばれる聖仙。聖仙ブリグの七人の子(チャヴァナ、ヴァジュラシールシャ、シュチ、アウルヴァ、シュクラ、ヴァレーニヤ、サヴァナ)の一人であることからバールガヴァ(ブリグの子孫)とも呼ばれる。 |
【解説】 「意志・意向」の意味で、スヴァヤムブヴァ・マヌとシャタルーパーとの間の娘として神格化された神。ルチの妻となって、双生児であるヤジュニャ(祭祀)とダクシナー(祭祀の供物)を生んだという。 |
【解説】 アグニ、あるいはその妻アーグナーイーに属する者の意で、アグニ神の子の軍人スカンダのこと。または聖仙アガスティヤの通称。 |
【解説】 シヴァ神の別名。「恐れさせることのないもの・恐ろしくないもの」の意味で、シヴァ神の破壊・殺戮の力を慰撫するために用いられた言葉。 |
【解説】 「生まれないもの・不生」の意で、様々な神々・動物などの名称として用いられる。 |
【解説】 「その敵が生まれない人」の意。 ・シヴァ神の別名 ・パーンドゥ王の長子ユディシュティラの別名。 ・ブッダの時代のマガダ国王。仏教を信ずる父王ビンビサーラを幽閉した物語は王舎城の悲劇として知られる。 |
【解説】 アシュヴァパーダともいい、天上に根を持ち、永遠の命を持つといわれる聖樹。その果実をピッパラということによってピッパラ樹とも呼ばれ、その木の下で仏陀が悟りを開いたということから菩提樹とも名付けられる。 |
【解説】 ヒンドゥー教徒、仏教徒のどちらも神聖視する樹木。学名をSaraca indica Linn.といい、和名はムユウジュ。漢訳仏典では無憂樹といい、仏教三霊樹(インド菩提樹、サラノキ、ムユウジュ)の一つ。生誕、結婚に関係の深い木といわれる。 |
【解説】 神々の敵、魔族。阿修羅。元々神を意味するデーヴァに対し、不思議な幻力・呪力を持った神格の呼び名でヴァルナ、ルドラなどがこれに属していたが、後には神々の敵、魔族の通称となった。 |
【解説】 「不死のもの」の意で、ヴィシュヌ神の別名の一つ。万物を創造して止まないから、あるいは究極的な解脱と異ならないからこのようにいわれる。 |
【解説】 「最初の詩人」の意で、ブラフマンのこと。 |
【解説】 ブラフマーの別名。 「自分自身で生まれたもの」、あるいは「アートマンより生まれたもの」の意味。 |
【解説】 「嫉妬深くないもの、慈悲深いもの」の意で、聖者アトリの妻。 |
【解説】 イクシュヴァークの系統に属するアヨーディヤー王。 |
【解説】 「肢体を持たないもの」の意で、愛の神カーマの別名。 |
【解説】 ブッダのいとこで、献身的な侍者。ブッダの前で悟りをひらいた弟子の1人。アーナンダは、ブッダの教えを、最初の仏教徒の会議(結果)で暗誦した。彼は6万の言葉を説明でき、「教えの宝庫の番人」として知られた。また女性もサンガ(教団)に入れるようすすめ、尼僧の教団を設立した。 |
【解説】 『リグ・ヴェーダ』の水の女神。アーパスは「水」を表す女性名詞アプ ap の複数形。天界の水であると共に地上の水をも表している。天上の水は神酒ソーマを始め、乳・グリタ・蜜・甘露となり、地上ではソーマの製造になくてはならないモノである。『リグ・ヴェーダ』におけるアーパスは、慈愛に満ちた母と言われ、宇宙の母・妻と讃えられ、生物や無生物を産み、あらゆる病気を治し、人間に繁栄をもたらす神として賛歌を捧げられている。 |
【解説】 「天啓経」Srautasutra 「家庭経」Grhyasutra 「律法経」Dharmasutraなどの作者といわれる聖者。 |
【解説】 「水の子」の意で、『リグ・ヴェーダ』の水神。インド・イラン共同時代に遡る期限をもつ神格であるが、インドにおいては火神アグニの一つの形態、または地上の祭火として讃えられる。 |
【解説】 「蛇」の意味で、『ヴェーダ』における干ばつの悪魔ヴリトラのこと。アヒは冬を表し、神話の上ではインドラの武器ヴァジュラによって殺されたという。 |
【解説】 「誇り高いもの」の意味でブラフマーの長子である火の神アグニの別名。アビマーニーは妻スヴァーハーとの間に、パーヴァカ、パヴァマーナ、シュチという三子をもうけた。この三子はそれぞれ電光の火、摩擦によって作り出された火、水を飲み干す太陽の火を表すと言われる。 |
【解説】 天界の水の精。半神族。「水の中で動くもの、雲の海の間を行くもの」の意で、美しい女性の姿でインドラの天界に住んでいると言われている。 |
【解説】 「紅いもの」の意味で、暁の神。ヴェーダの暁紅神ウシャスに相当する。闇を破って昇る太陽を神格化したもの。 |
【解説】 「支配者・生」の意で、一般的にはシヴァ神のこと。 |
【解説】 「支配者」の意で、『リグ・ヴェーダ』ではルドラ神の別名として用いられ、のちにはシヴァ神を意味するようになったという。 |
【解説】 供犠の食物、神酒を神格化した女神。 |
【解説】 火神アグニの別名。「全ての人々に共通するもの」「普遍的なもの」の意。 |
【解説】 クヴェーラの別名。「ヴァイシュラヴァスの子」の意で、仏教では毘沙門天或いは多聞天といわれる。 |
【解説】 シヴァ神の別名で「医王」の意。シヴァ神の十二大リンガのうちの第六番目。 |
【解説】 「ヴィナターの子」の意で、ヴィシュヌ神の乗る聖鳥ガルダの別名。 |
【解説】 『リグ・ヴェーダ』の神群の名。自然現象を神格化した八神の総称で、 ・アーパス(水) ・ドルヴァ(北極星) ・ソーマ(月) ・ダラ(地) ・アニラ(風) ・アナラ(火) ・プラバーサ(暁) ・プラティユーシャ(光) の神々をいう。 |
【解説】 パーターラという地下の世界に住むナーガ(蛇)の王。プラジャーパティ・カシュヤパとその妻カドルーとの間に生まれたという。 【別名】 ナーガラート、ナーガラージャ、ナーゲーンドラ、サルパラージャ、パンナラート(いずれも「蛇王」の意)、パンナガ(這うもの、蛇) |
【解説】 「乗り物」の意で、神々が乗っている鳥や動物のこと。特にヴァーダ以後の神話において、神々の力や性格を表すものとして盛んに用いられるようになったという。 |
【解説】 ヴィシュヌ神の第五番目の化身で「倭人」の意。 |
【解説】 「野猪」の意味で、ヴィシュヌ神第三の化身。。水中から大地を引き上げた「猪」として表される。ある時ダイティヤ族のヒラニヤークシャが、神々との争いから、大地を水の中に沈めてしまった。神々は、ヴィシュヌ神に助けを求めた。ちょうどその頃、人類の祖であるマヌは父であるブラフマーと共に暮らしていた。自分によく仕えるマヌを気に入ったブラフマーは、女神に祈りを捧げるようにマヌに教えた。言われたとおりに女神に親愛を捧げたマヌは、女神達からプラジャーパティ(創造主)になる力を与えられたのである。マヌは一人静かに創造を出来る場所を探した。しかし、全ての大地は水の中に沈んでいて、何処にもそのような場所がなかったのである。ブラフマーはマヌを連れてヴィシュヌの元に行き、祈りを捧げた。すると、ブラフマーの鼻の穴から一匹の猪が飛び出したのである。猪は瞬く間に巨大化し、やがて山のような大きさとなった。神々しくそびえ立つヴァラーハは海の中に飛び込むと、大地をその牙の上に載せて支えた。ヒラニヤークシャはそれを邪魔しようとヴァラーハに襲いかかるが、ヴィシュヌはアンダカという棍棒でなんなく打ち殺してしまった。そして、大地を水から引き上げて地上に固定したのである。元々この神話はブラフマーナに起源を持つ。これが、後の叙事詩やプラーナの時代になると、ヴィシュヌの化身として語られるようになったのである。これはヴァラーハに限らず、他の化身にも言えることだろう。 |
【解説】 「全ての神々」の意で、一般的に10のクラスに分けられる。 ・ヴァス ・サティヤ ・クラトゥ ・ダクシャ ・カーラ ・カーマ ・ドリティ ・クル ・プルーラヴァス ・マードラヴァス の10の群でこれにローチャカとドゥリが加えられることもある。 |
【解説】 ヴェーダの聖仙の一人で、唯一人、上位のカーストに移った人間。王位にあったが、すべてを捨て去り、修行に打ち込んだ。激しい苦行の結果、クシャトリヤからバラモンとなることができた。リグヴェーダの作者の一人とされる。神々をも、創造しうる力を持つ。 |
【解説】 「あらゆる形態を持つもの、普遍的なもの、全知全能者」の意で、ヴィシュヌ神の別名。 |
【解説】 「全てのものの主」の意で、シヴァ神の別名。 |
【解説】 シヴァ神と並んでヒンドゥー教の最高神。ヴィシュヌとは、「vis (広がる、行き渡る)」を語幹とし、『リグ・ヴェーダ』において、太陽の光を神格化した神であった。ヴェーダ時代は、数ある太陽神の一つである彼だったが、後のヒンドゥー教の時代になると、様々の英雄達を自分のアヴァターラ(化身)として取り込むことによって、シヴァと並ぶ最高神の地位を獲得したのである。彼の10個のアヴァターラは次のようである。 ・マツヤ(魚) ・クールマ(亀) ・ヴァラーハ(野猪) ・ヴァーマナ(矮人) ・ヌリシンハ(人獅子) ・パラシュラーマ(斧を持つラーマ) ・ラーマ ・クリシュナ ・ブッダ(仏陀) ・カルキ(救世主) ヴィシュヌはその名の意味の指す通り、「正義」が失われ、「不道徳」が世界を覆う度に、ヴィシュヌはアヴァターラとして地上に現れ、悪を滅ぼすのである。化身の数は、多いときは22種挙げられることもあるが、一般的には上の10の化身(ダジャ・アヴァターラ)がよく知られている。また、ヒンドゥー教のヴィシュヌ派によれば、宇宙がまだ混沌でしか、彼の臍に1本の蓮の花が咲き、その中からブラフマーが生まれた。そして、その額からはシヴァが生まれたのである。ヴィシュヌは、前述したアナンタの上で寝たり、腰掛けている姿で描かれることが多い。仏教で言う半跏(片足を、もう一方の足に乗せる座り方)の形で座り、4本の腕にそれぞれ持物(仏教で言う、仏像の持ち物)を持っている。第1の手には、法螺貝のパンチャジャナ。第2の手には、ヴィシュヌのシンボルとも言えるチャクラを。第3の手には、カウモーダキーという棍棒。第4の手には、蓮の花が握られている。ヴィシュヌはメール山の中心にあるヴァイクンタを居城とし、妻ラクシュミーと共に暮らしている。 |
【解説】 「創造者」の意で、ブラフマー神、ヴィシュヌ神の別名。 |
【解説】 カーマとは、「欲望・意欲・性愛」を意味する。ギリシャ神話のエロスとよく似た愛の神である。妻のラティ(快楽)と、従者のヴァンサンタ(春)を連れて、あちこちを飛び回っている。かなりの悪戯好きで、砂糖きびで出来た弓から花の矢を放つと、それに射られた者はたちまち目の前の相手に恋をしてしまう。その姿は、一般的にオウムに乗った美しい若者の姿である。 |
【解説】 ヴィシュヌ第10のアヴァターラ(化身)である。カリ・ユガの世界に降臨し、全ての悪を滅ぼす。その姿は、白馬に乗った騎士として描かれる。この黙示録の騎士にも似たカルキは、他の化身とは違ってまだこの世に現れていない。ヒンドゥー教には『ユガ』という世界観があって、世界は4つの周期に分けられている。現代は最後の世紀であるカリ・ユガという時代に属す。カリ・ユガは闘争の時代とも言われ、悪徳と暴力がその象徴である。全ての真理は失われ、人々は堕落し、物欲が世界を支配する。そのアダルマが支配する地上に降臨するのが、救世主カルキである。白馬に乗ったカルキは世界中の悪を滅ぼし、天界へと戻って行く。そして、カリ・ユガは終わりを告げ、新たなるクリタ・ユガの時代(黄金時代)が訪れるのである。 |
【解説】 ヴィシュヌ第2のアヴァターラ(化身)である。乳海攪拌の時、それを支えた「亀」としての姿で表される。プラーナ文献の神話には、「乳海攪拌」という有名なエピソードがある。詳しい説明は前記の項目に譲るとして、ある時、神々と悪魔達が協力して、不死のアムリタを作り出そうとする。ヴィシュヌは、世界中から全ての植物の種子を集め、乳海に放り込むと、ヴァースキ(ナーガ)を結びつけたマンダラ山を攪拌棒にして掻き混ぜ始めた。ヴィシュヌも、クールマへに化身すると、乳海の中に潜り込み、その背中にマンダラ山を背負って、回転の軸となったのである。 |
【解説】 ヴィシュヌ第8のアヴァターラ(化身)である。その名は「黒い神」の意味で、数ある化身の中で最もも重要であり人気のある神。ヴィシュヌの化身としではなく、単体の神としても崇拝されている。 |
【解説】 ブラフマー、ヴィシュヌとトリムールティを形成するヒンドゥー教三大神の一人。シヴァとは「吉祥な」という意味で、『リグ・ヴェーダ』では、暴風神ルドラの別称であった。強力な破壊神であるルドラは、豪雨、雷などによって人間を殺す恐ろしい神であったが、反面病を癒やす治癒神でもあった。ルドラは、モンスーンの神格化であり、破壊をもたらすと共に、雨によって植物を育てるという二面性を持ち合わせていたのだ。その二面性は、後のシヴァへと受け継がれることになった。 シヴァには無数の名前がある。以下、その有名な所を挙げていく。 ・バイラヴァ(恐怖すべき者) ・ガンガーダラ(Gangadhara)(ガンジスを支える者) ・マハーデーヴァ(偉大なる神) ・シャルベーシャ(有翼の獅子) ・パシュパティ(獣の王) ・ナタラージャ(舞踏王) など、その名は1000を越えるという。 |
【解説】 美しい少年の姿をした戦いの神。シヴァの息子で、カルティケーヤ、クマーラ(Kumara)、 サナートクマーラ(Sanatkumara)、マハーセーナ(Mahasena)、セーナーパティ(Senapati)、シャクティダラ(Syaktidhara)、など64もの名前を持つ。また、タミール山の、ムルガンとも同一視される。6つの顔と12本の腕を持ち、パラヴァニという孔雀に乗った姿で描かれることが多い。彼が持つ槍は、ヴィシュヴァカルマンによって作られた。その出生には様々な説がある。 |
【解説】 ブラフマー・ヴィシュヌ・シヴァの三神一体説。「三位一体」を表している。宇宙原理の中で、ブラフマーが「創造」、ヴィシュヌがその「維持と繁栄」、シヴァが「破壊」が担当しているという考え方。ブラフマーが「情熱」、シヴァは「暗黒」、ヴィシュヌは「純質、慈悲、善」の体現者であり、宇宙の始まりから終わり、そしてまた再生と、その全てを表している。 |
【解説】 ヴィシュヌの第5のアヴァターラ(化身)である。獅子の頭と、人間の体を持った霊獣。スリランカやタイの装飾で見ることが出来るノラシンガという神獣は、元はヌリシンハだった言われている。 |
【解説】 ヴィシュヌ第6のアヴァターラ(化身)である。その名は、「斧を持つラーマ」と意味。 |
【解説】 シヴァの神妃の一人。シヴァの最初の妻、サティーの生まれ変わりだといわれる。その名は「山に住む女神」の意。 |
【解説】 ヴィシュヌ第9のアヴァターラ(化身)である。周知の通り、ブッダとは仏教の開祖である仏陀(釈迦如来)の事である。ここでのヴィシュヌの目的は、他の化身とは決定的に違っている。『バーガヴァタ・プラーナ』によれば、ブッダへと化身したヴィシュヌは神々を苦しめるアスラ族に、誤った教義である仏教を広め、ヴェーダを捨てさせたのである。それは人間の間にも広まって行く。その結果、彼らはパーシャンディン(ヴェーダを捨てた異端者)となり、地獄へと墜ちるに相応しい存在となった。ヒンドゥー教の世界観によれば、現在はカリ・ユガの時代である。カリ・ユガは、悪徳・暴力が蔓延る世界の終末である。つまり、ここでのブッダはカリ・ユガの到来を意味しているのだ。そしてカリ・ユガの終末、全てのアダルマ(非法)を滅ぼす為にカルキが降臨する。サンスクリットではガウタマ・スィッダールタ(Gautama-siddhartha, gautama- siddhArtha)、パーリ語でゴータマ・スィッダッタ(Gotama-siddhattha, gotama- siddhatta)という。よく両者を混同する表記が見られるがこれは間違いである。ガウタマとは「最上なる牛」を意味し、スィッダールタとは「目的(実利)を成就せる者」の意である。 |
【解説】 ヴィシュヌ、シヴァと共にトリムールティを形成する三大神の一人。サラスヴァティーがその神妃である。ブラフマーは、ヴィシュヌやシヴァと比べると非常に抽象的な神である。古くは宇宙の根本原理であるブラフマン(梵)という観念であって、ヴェーダにおいては神々を称える言葉(マントラ)や、そこに秘められた神秘的な力を表す「語」として用いれられていた。それがウパニシャッドの時代になると、それらが擬人化され神格化した結果、男性神としてのブラフマーが誕生したのである。「自らを創造したもの(スヴァヤンブー)」「生類の王(プラジャーパティ)」と呼ばれ、神々の上に立つ最高神とされたブラフマーも、時代が下るにつれ、ヴィシュヌとシヴァにその役割を奪われ、その地位は相当に下る事になった。ヴィシュヌ派の叙事詩の中では、ブラフマーはヴィシュヌのへそ、あるいはへそに生じた蓮の中から生まれたと記されている。ブラフマーは普通、4ヴェーダを表す4つの顔を持ち、4本の腕にはそれぞれ、水瓶、数珠(または弓)、ヴェーダ、笏が握られている。しばしば白髭の老人として描かれることもあり、その乗り物は「ハンサ鳥」と呼ばれる、白鳥に似た神聖な鳥である。仏教に入り、ブラフマーは「梵天」とされた。仏陀が悟りを開いた時、その悟りを万民に伝えるように説いたのが梵天で、「梵天勧請」と呼ばれ、仏教画では必ず描かれる有名なエピソードである。 |
【解説】 「聖者の子」の意味で、聖仙カシュヤパの子として生まれたガンダルヴァ達の名称。彼らは下界に住み、その数は六千万といわれ、同じ世界に住んでるナーガ(蛇)たちを征服した。ナーガたちの訴えによって、ヴィシュヌ神はプルクツァを下界にやってマウネーヤを殺させたという。 |
【解説】 アグニ、ルドラ、インドラが殺したと云われる神秘的な存在。マカを殺したことによって彼らはマカハン(マカを殺すもの)と呼ばれるようになったという。 |
【解説】 クロコダイル、サメ、イルカなどの姿をとるという伝説上の海の動物。神話・伝説上に現れるというマカラは神秘的、呪術的な力を持ち、河や湖やマカラーヴァーサ(マカラの住むところ)と呼ばれるところに住んでいたという。また、天上や地界の水の神ヴァルナや、ガンジス河の女神ガンガーの乗り物であったという。 |
【解説】 ヴィシュヌ第1のアヴァターラ(化身)である。大洪水から、人間の始祖であるマヌを救った「魚」とされる。プラーナの伝説によれば、ブラフマーの子供であるマヌが、先祖の霊に水を捧げようと河に入ると、その手の中に1匹の小魚が逃げ込んできた。マヌは、小魚が大きな魚に食べられないようにと、壺に入れて助けてやり、自分で飼うことにした。だが、すぐさま小魚は成長して壺に入り切らなくなる。小さな池、湖と放していったが、さらに巨大化していったので、ついに海に放すことになった。巨大化した小魚(マツヤ)は、7日後に大洪水が起こることを予言する。それを聞いたマヌは、初めてマツヤがヴィシュヌの化身であることに気付くのである。マツヤは、「お前は船を用意し、7人の賢者と全ての種子を乗せて待ちなさい」と告げて、姿を消した。そして7日後、予言通り大洪水が地上を襲った。マヌが船に乗り込むと、マツヤはヴァースキをロープ代わりに船に巻き付けて彼らを守ったのである。 |
【解説】 ゴータマ・ブッダの母である王妃マハーマーヤーの別称。仏教説話によると、マーヤーにはゴータマの母となるべき女性としての、ありとあらゆる特質が備わっていたという。神々しくみやびやかで、心優しい徳を備えた若々しい女性であった。ゴータマを授かった日、マーヤーは夢を見た。その夢には、小さな白い象が現れ、白い蓮の花を鼻先に掲げ持ってマーヤーの右脇に入ってきたという。やがて、マーヤーはゴータマを産むが、ゴータマは、マーヤーが右手で一枝をつかむと、マーヤーの右脇腹から生まれ出た。産みの苦しみは全くなかった。7日後、マーヤーは亡くなり、天に昇って神々の仲間入りをしたという。ヒンドゥー教では、マーヤー(「奇跡的な力」)はヴェーダの神々の力を意味する。後世になって、それは我々の見ている幻影を指すようになり、その幻影は、「絶対」の普遍的真実が理解された時に解かれるのだと言われる。 |
【解説】 仏教の魔王で、ゴータマ・ブッダがブッダガヤの聖樹の下で座って瞑想にふけっているときに、誘惑したという。呼称は「死」を意味する。ゴータマが悟りをひらけば、自分の力が地に堕ちるということを知っていたマーラは、3人の美しい娘を送り、ゴータマを誘惑しようとした。マーラの娘たちは歌ったり踊ったりと、ありとあらゆる手練手管を使ったが、ゴータマはその手にはのらなかった。とうとう娘たちは諦めた。 マーラは次に恐ろしい悪魔の集団をゴータマに向けた。そこには千の目を持つ化け物や、おぞましい形の化け物がいた。血を飲み、蛇を貪る化け物たちは、しかし聖樹の近くにくるやいなや、自分たちの腕が脇に縛り付けられてしまっていることに気がつくのだった。やむなくマーラは自らゴータマと対決しようと、恐ろしい武器を持って向かってくる。それは山もを2分するような円盤であった。にもかかわらず、その円盤がゴータマのところにくると、花環になってしまうのであった。ここにいたって、マーラはついに自らの敗北を認める。これによりゴータマは悟りを開き、この聖樹は菩提樹と呼ばれるようになった。 |
【解説】 ヤクシャの女性形、薬叉女。あるいは、富の神クヴェーラの妻。 |
【解説】 富の神クヴェーラの従者とされる神秘的存在。森、ジャングル、野原などに出没する精霊的な存在で、仏典では薬叉と音写される。 |
【解説】 悪魔、或いは邪悪な精霊で、犬やハゲ鷹などの姿をとって人間に害を与えると云われる。ヤートゥはラークシャサ(羅刹)と別のものであったが、叙事詩やプラーナでは両者は同一のものとして扱われている。 |
【解説】 「ヨーガの眠り」の意で、ヴィシュヌ神の偉大な幻の力、及び、女神デーヴィーの大幻力をいう。 |