火の神。インドラに次いで多くの賛歌を捧げられており、その数はおよそ全体の五分の一。 炉の火を神格化したもの。清浄と賢明の神で、人と神の仲介者であり、また、結婚式や誓約式では神聖な証人であった。 彼の頭髪は炎、歯と顎は黄金で、3つあるいは7つの舌を持っていた。 太陽の火であると同時に稲妻であり、あるいは炉の火で、礼拝のために灯す火でもあり、木や草の中にも隠れていた。 アーリア人は供物を火の中に投げ込んだ。そうすることで、アグニがその供物を天上の神々のところまで運んでいくのだ。そのためアグニは地と天の仲介者、神界からの使者とされ、アグニ自身すぐれた神官でもあった。 |
双子の兄弟神。インドラの協力者。 治癒の力を持った神で、ギリシア神話のディオスクーロイに対応する。 |
素性のはっきりしない女神。 アディティから産まれた子はアーディティア神群と呼ばれ、その中にはインドラとミトラ、バルナもいる。 |
森の女神。 |
武勇神。ヴェーダを信仰していたアーリア人は、北の地からインドへ侵入し原住民を征服して繁栄を築いた。そのアーリアの歴史を背景に、アーリア人戦士の理想像として信仰された。 また、雷の神としての側面もある。 全身(頭髪やひげも)茶褐色で、体は巨大。暴風神マルトの群を引き連れ、名馬ハリの引き戦車に乗って空中を駆けめぐる。武器は金剛杵。神酒ソーマが大の好物で、暴飲しては他の神々の所有物を破壊する。 数多くの悪魔を退治したが、中でも水をせき止めたり牛を捕らえたりして人々を困らせていた蛇形(竜形とも言われる)の悪魔ブリトラを退治したことから、「ブリトラハン」と呼ばれる。これは「ブリトラの殺戮者」という意味である。 ちなみにこの逸話は「世界に夜明けをもたらした」ことの象徴とも言われている。 インドラは非常に信仰を集めていたらしく、リグ・ベータに収められた賛歌うち実に四分の一はインドラに捧げられたものである。もちろんこれは全ての神々の中で最も多い。 賛歌の中で、光と大洋の創造者とされている。 また、像が造られないなど個性の払拭が見られるヴェーダの神々の中ではきわめて個性的に描かれた。 |
太陽神。男性の神。 数多い太陽神は、それぞれ太陽の諸作用に符合している。 ヴィシュヌは天と空と地の山界を三歩でまたぎ、三歩目は最高天を踏むほどの巨人。太陽の光を神格化したもの。 のちにヒンドゥーの重要な神となった。 |
暁の女神。天の娘であり、うら若き美しい乙女。 毎朝、常に新しいものとして東に現れ、闇をはらい生きものを眠りより覚ます。 |
太陽神。男性の神。 数多い太陽神は、それぞれ太陽の諸作用に符合している。 サビトリは金色に輝く神。万物をはぐくみ、病気を駆逐する。また、鷲の姿もとるという。 |
太陽神。男性の神。 数多い太陽神は、それぞれ太陽の諸作用に符合している。 スーリヤは「神々の輝く面」と呼ばれ、暁の女神ウシャスのあとから天に昇り、天と空と地の三界を光で満たし、金色の駒に引かれて天地を駆けめぐる。 |
アーリア人が祭祀の際供物にした神酒がやがて神格化したもの。 もともとソーマは、灌木の茎からつくった黄褐色の液体で、酩酊効果があり、神々が好むとされた。そのため祭祀の最も重要な供物であり、人間も供物の残りを飲んだ(長寿に効き目があるとされていた)。 別名マドゥ(蜜)、またはアムリタ(不老不死の飲料)。 神となったのちは、植物の長であり天上の流れそのものとして称えられた。太陽もソーマの顕現であり、ソーマ(酒)をつくる儀式は宇宙現象を象徴した。ソーマの滴は雨、ソーマの流れる音は雷鳴であった。 ソーマに捧げられた賛歌はリグ・ヴェーダの第九巻の全てを占める。 |
天神。地神プリティビーと合わせてディアバー・プリティビーと呼ばれる。また、ディアウスは雄牛、プリティビーは雌牛とされた。二神の交歓は雷に象徴され、雷が落ちた地点は地の臍とも称された。 彼らはギリシア神話のウラノスとガイア、またはユピテルとガイアに比べられる。天の神ではあるが、最高神ではなかった。 |
雨の神。 |
神界の帝王。天則の保護者。宇宙全体の秩序を守る。 リタとは自然界、人間界の秩序であり、それによって宇宙は正しく動く。人間界においては道徳律でもある。であるから、バルナは欺瞞と背信を憎み、探偵を放って人間を監視する。悪人や罪人がいればそれを捕らえたり、水腫病(水ぶくれになり、顔がむくみ、腹が太鼓のようになって苦しみ死ぬという奇病)で罰したりする。 ミトラと関係が深い。ミトラが法律的な面を代表するのに対して、バルナは思弁的な面を代表する。また、魔性の神である。 天上の大海原に住んでいて、後には水の神になった。 また、かつて最高神だったがインドラにその地位を奪われたとも言われる。 |
契約の神。人倫の具体的側面を司る。 バルナと関係が深い。バルナが思弁的な面を代表するのに対して、ミトラは法律的な面を代表する。 イランのミスラ、ペルシアのMithraに対応する。とりわけペルシアにおいては、密議宗教の神とされ、「ミトラ教」なるものも存在する。 |
太陽神。男性の神。 数多い太陽神は、それぞれ太陽の諸作用に符合している。 プーシャンは牧畜の神であり、また、道祖神でもある。牛や馬を守り、迷える者には道を示す。 |
地神。地母神として信仰され、豊饒の神でもあった。 天神ディアウスと合わせてディアバー・プリティビーと呼ばれる。また、プリティビーは雌牛、ディアウスは雄牛とされた。二神の交歓は雷に象徴され、雷が落ちた地点は地の臍とも称された。 |
暴風神。雲に乗り雨を降らせる若者達。マルト神群。 インドラに従い共に戦う。 |
夜の精。女神。 |
モンスーンの破壊力とそれが去ったあとの爽快感を神格化した神。 畏怖の対象だが、一方で医療の神でもある。 後に姿を変えシヴァ神としてヒンドゥーの重要な神となった。 |