竜の発祥地 仏教の竜 竜王 竜王の宿命 |
竜の発祥地はインドである。竜の発祥は中国からと言われる方もいるだろうが、中国の毒竜は西洋のドラゴンやヒンドゥー由来の竜が元になっているのである。 |
インドで竜と言えば「ナーガ」。「ナーガ」は、コブラをイメージの母体とした竜で、コブラの姿であったり、また人の上半身とコブラの尾が結びついた姿をすることもある。そして、敵を一撃で倒してしまう強力な毒と、どんな傷をも癒してしまう不死身の肉体を持って、パーターラと呼ばれる地下に広がる無人の世界に住んでいた。仏教の守護竜はこのナーガが中国に伝わってきたものと言われている。アナンタ、シェーシャ、ヴァスキなど、ナーガの中でも巨大な力を持つ王は仏教でも竜として活躍している。 |
竜王は、仏教の中では天部と呼ばれる外来の神々が織りなすグループ、もしくは竜としての独立したグループに分類される。天部は仏とは違い、仏性を持たず一生悟りを得られずに、仏法の守護を続けなければならないという過酷な運命を担っている。仏教の竜もその身に大きな災いを背負いながら仏法の守護を続けていくのである。 |
竜王には「三患」と呼ばれる3つの宿命的な苦しみがある。 1.煩悩 竜は生前煩悩を捨てきれなかった者が転生したと言われる業の深い生き物である。その業の源は、竜の物的な欲望を全て満たすことが出来る如意宝珠に集約される。それ故、竜は如意宝珠を手放すが出来ない。手放さない以上竜王は永劫に欲望から解き放たれず、一生業の深さの苦しみから逃れられないのである。 2.身体 竜の心のおごりのために、天からの熱風と熱砂が常に体を打ちつけて耐えきれないほどの苦しみを味わうことである。 3.天敵 金翅鳥(天竜八部衆の一つ迦楼羅のこと。迦楼羅はインドでのガルダでナーガを宿敵としている)に出会うと、逃げることも戦うことも出来ずにただ殺されてしまうのである。 |