
「ローマ記数法」は、「位取り記数」ではないので、紙に書いても、計算できないのです。
ゼロという数の起源には、インドの宗教的側面と同時に、インドの哲学が反映されています。インドでゼロを意味する言葉はサンスクリット語のシューニアです。シューニアとは文字通りには何も無いということ、「空(くう)」や「無」を表しています。「空」を象徴的に表すものが、ビンディー、すなわち「点」です。インドの女性が額に点を付けているように、今でもそれは、化粧の一部になっています。このビンディー、すなわち「点」は「穴」へと変化しました。そして、この「穴」は、一種の世界観を表すものとなります。例えばその一つが、人間は全て、この「穴」の中にいるという考えです。「救い」とは、「穴」から抜け出ることだと考えられました。ゼロが無くては、1 - 1さえ計算できません。インドの宗教と哲学から誕生したゼロは、数の世界に全く新しい道を開きました。