宇宙ステーションで行う実験

国際宇宙ステーションでは、宇宙の、重力がほとんど存在しない「微小重力」という特殊な環境を生かして、いろいろな分野の発展のために、様々な実験を行い、研究開発をしていきます。

微小重力科学

微小重力という環境を活かして新材料開発のための実験を行います。宇宙では、重力がないために、重さや比重の違いのせいで、物質が移動したり、混ざったりしないため、今まで地上では、開発するのが不可能だった新材料を作ることができます。これによって、人々の生活に役立つ新しい素材を開発していいきます。また、たんぱく質の結晶は、微小重力の中では、地上で取るよりも良質のものができるため、たんぱく質の構造がわかりやすくなると共に、病気の解明や、医薬品の開発をすることもできるようになります。

ライフサイエンス

地上では、困難な、生命がいろいろな環境に生きられる、その適応能力がどのようにして進化されてきたのか、を明らかにすることができます。これは、将来、生命が宇宙に進出していくためにも、必要になってきます。具体的には、水棲生物や、小動物の飼育実験を行い、発生・成長・世代交代などに対して宇宙のもたらす影響を研究します。メダカの飼育実験 (C)NASDA

宇宙医学・有人宇宙技術

これから訪れる、生命が宇宙で暮らす時代に備えて、宇宙環境や、宇宙船内の閉鎖された環境が、生命の心身に与える影響をしらべ、その対処法に対する研究を行います。そして、宇宙と地球の行き来の方法や、宇宙での快適な生活のために、いろいろな技術の研究・開発を行います。これらの研究は、宇宙空間だけでなく、地球での医学や、技術に役立つことが予想されています。

宇宙科学

宇宙ステーションは、大気に邪魔されず、360度自由宇宙を見回すことのできる、絶好の天体観測所です。地球ではどんなにがんばっても得られない条件のもとで、宇宙の成り立ちや環境、構造などを、研究することができます。

地球科学・地球観測分野

宇宙ステーションからは、地球の表面を約85%観測することができます。地表や海面・大気の様子を観測し、環境問題の観測の貴重な資料とします。ここからは、一度に広い範囲を観測することが可能です。地球の表面 (c)NASDA

宇宙利用技術開発

将来の宇宙での活動に必要な、ロボット、通信、エネルギーなどの技術の研究を行い、その装置の耐久性や正常に作動するかどうかを、実際に宇宙空間の中で実験することによって、証明していくことができます。