![]()
![]()
『ヒトゲノムとは』
ヒトゲノムとは人間を形作るために一人一人に設定された情報のことである。
人間などの生物のもつ細胞の中にはそれぞれ核が存在し、その中には細長い二重らせん構造のDNA・染色体がある。その中で”その生物を形作る情報”を特定して「遺伝子」や「ゲノム」と呼び、この「遺伝子」の人のもののみを特定して『ヒトゲノム』と定義している。
このヒトゲノムは体を作るための設計図である。詳しく言うと、たんぱく質造成とそれを組み合わせて体を作ることの指示のための仕事をしている。人間は各臓器ごとに異なる種類のたんぱく質を必要としている。その必要なたんぱく質の種類や配置を判別するための設計図と指示役をヒトゲノムが担っているのである。
『ヒトゲノム計画』
先進国はアメリカを中心に、このヒトゲノムを全て解読して人の遺伝情報を明らかにし、医学などの分野で役立てようと国際計画、『ヒトゲノム計画』を開始した。もちろん日本もこの計画に参加している。
この計画は、医療の分野で遺伝子治療を推進することをが大きな目的となっている。遺伝子治療とは? 例えば、癌・アルツハイマー・生活習慣病などの、発病の際の因子が遺伝子となる病気、、その因子となる、遺伝子の一部の改善を試みることなどが遺伝子治療の実用例である。
この遺伝子治療は現在でも行われているが、『ヒトゲノム計画』が成功した暁には遺伝子治療が完全なものになり、現代医学に大きな発展を残すだろう。
『ヒトゲノム計画の現状』
ヒトゲノム計画は発足当初は、ヒトゲノム解読を2005年頃と見積もっていた。しかし、最近になってから2001年には終了すると修正された。これは解読に使うコンピューターの性能の向上や、民間企業の多社参入や、遺伝子そのものの数が見積もりよりも遥かに少ないことが判明したことなどによるものである。
そして、この民間企業の参入により遺伝子特許問題が台頭した。日本では遺伝子特許自体が認められるかどうかはっきりしないと言う現状なのに、アメリカでは既に多くの遺伝子特許が成立している。また、遺伝子関連企業は、日本ではアメリカの100分の1程度しか存在しない。もし、このまま特許問題が進んだら、遺伝子治療や遺伝子薬品の日本国内売買に、アメリカへの特許料のために多額の円が流出し、日本経済が混乱し、大きな被害が発生すると思われる。
『遺伝子治療』
遺伝子治療とは、異常を持つ遺伝子と正常な遺伝子を入れ替える治療方法である。これでは、ほとんどの場合にベクターウィルスと言う人体に害のないウィルスを用いる。
まず、このベクターウィルスに正常な遺伝子を埋め込み、人体に何らかの方法で入り込ませる。次に異常な遺伝子をベクターウィルスに入っていた正常な遺伝子と置き換え、ベクターウィルスを消滅させる。
これでもし、正しい効果が起これば、異常な遺伝子が正常な遺伝子に置き換わり、病気が治ると言うものである。
『オーダーメイド医療』
『SNPs(スニプス)』とは、ヒトゲノムの中で一人一人の変異、個人差が現れる塩基配列の一部である。これを解析すればその人にどんな薬が効き易いか、どんな副作用が出てどんな病気になりやすいかなど、個人個人の体質を調べることができる。
そして、その体質情報を使えば、遺伝子治療にかかわらず、あらゆる医療の分野での『SNPs』の活躍が期待できる。そして、比較的に他国が出遅れている『SNPs』の研究に日本が専念することで遺伝子特許問題をカバーできるのではないかと期待されている。