雪と食べ物
本格的に雪が降りはじめると、白銀の世界となります。田畑の作物はとれません。
そこで、貯蔵)(ちょぞう)方法を工夫しています。
湯之谷村の郷土料理
湯之谷(ゆのたに)村は森林と清流に恵まれ、山菜やキノコ、コシヒカリ、野沢菜漬(のざわなづけ)など食の宝庫(ほうこ)です。土地でとれた素材を生かした料理が村人に受けつがれてきました。
笹団子・笹もち・ちまき
笹は防腐(ぼうふ)効果が高く、笹にくるんでおくと保存がききます。
鮭
鮭が産卵(さんらん)にのぼってきました。鮭は塩漬けにして保存。雪国の人にとって「正月の鮭」はごちそうでした。
干し大根葉
大根葉を熱湯に2分くらいひたしてすぐ水で冷やし、完全に冷えたら水をしぼってさおにかけ、かんそうさせます。
ある程度しっけのある状態で取り出し、缶やビニールづめにします。水にもどして、油いためやにものにして食べます。キャベツ・にんじん・ほうれん草・野沢菜なども同じ。
岩魚(いわな)の甘露煮(かんろに)
山仕事の昼休みに岩魚をとるのが楽しみの1つ。山小屋のいろりでほして煮込んで甘露煮にしました。
山菜
山菜は直接食用にする物、びんづめや冷凍・塩蔵にするものがあります。(にがみやえぐみの強い物)ウド・コシアブラ・アザミ・フキノトウなどは、油炒め・天ぷら・酢味噌(すみそ)などにして食べます。(にがみやえぐみの弱い物)ウルイ・ミズナ・コゴメなどは、ひたし・煮びたし・クルミあえ・玉子とじ・三杯酢(さんばいず)で食べます。
みそだんご
昔から「熊狩り」「ゼンマイ採り」が暮らしの糧でした。長期間山小屋で仕事をするので、くさりにくいおかずとして工夫されたものみそにかつを節、小麦粉を混ぜ、一口大の団子にまるめ、油でカラリとあげる。
あんぼ
四季を通して食卓(しょくたく)にのぼるもの
@小麦粉・米の粉・じゅうそう・塩・酢をぬるま湯で手早くこねる A柔らかくなったらちぎって丸める。
B野沢菜の漬け物を1時間ぐらい水にひたし、塩抜きをし、細かに刻んで油で炒める。
Cシイタケは細かく切り、Bに入れ、佐藤で味つけ D皮をうすくのばし、ぐを包む。
E湯気の立った蒸し器に入れて、15分ぐらい蒸す ◎昔は灰の中で焼きました。
煮おろし
冬期間よく作られる。大根は消化がよいので餅の時も食べられる。
@大根は鬼おろしですりおろし、軽く水気をしぼります Aにんじんはさいの目、打ち豆は水につけておく。
B@のしぼった汁を鍋にだし汁を入れて、大根・にんじん・打ち豆を入れてにる Cしょうゆ調味料でで味付け。
塩クジラ汁
炭焼き・桑採り・ボエ切り・荷物運びなどの重労働の栄養補給(えいようほきゅう)として食べられていた。
@湯を煮立て、さいのめに切ったクジラを入れて3分ほど煮込む。
Aキタロウアザミは皮をむいて小口切りにし、水に放してあくぬきをする。 Bミジナは3センチくらいに切る。
C@にミズナとアザミを入れて、みそで味付けし、煮上げる。
ウサギ汁
山ウサギ・家うさぎを昔はどの家でも飼っていて、秋や冬に食べました。骨団子はカルシウム源になったようです。
@大根・にんじんはイチョウ切り、ゴボウはささがき、白菜・長ネギはざく切り。
Aウサギ肉は一口大に切って油でいためる。野菜も入れていためる。
B水をヒタヒタにそそぎ、みそで味を付ける Cウサギの骨で団子を作り、汁に加える。
面とり大根
湯ノ谷(ゆのたに)村だけでなく小出町でもよく作られる。
@大根は輪切りにして、面とりをする。ややかためにゆでる。
A鍋に油を熱していため、だし汁・みりん・しょうゆを入れて味がしみるまで煮る。
B煮汁にカタクリ粉でとろみをつけ、大根にかける。
銀山そば
米の補食としてそばを栽培(さいばい)した。昔は粉のまま米やアワにまぜてそばご飯にしたり、そば焼き餅やそばがきにして食べた。
えご
湯之谷(ゆのたに)村一帯は長寿(ちょうじゅ)の村として有名です。その長生きのひけつがえごです。原料のえご草は海そうの一種で、乾燥(かんそう)してあるので保存がきき、山間部では利用度が高い。
@えご草をなべにいれ(ヒタヒタ水)火にかけ、焦がさないように十分ねる。
Aトロトロに練(ね)れたら、熱いうちにざるでこして、容器(ようき)に流す。
Bかたまったら好みの大きさに切って、酢みそやわさびじょうゆ・からしじょうゆをつけて食べる。
作ってみたい人は
新潟県北魚沼郡湯之谷村生活改善グループ協議会
TEL02579−5−2757
「おら村のごっつぉ 湯之谷村」
保存食品

北側の家の軒先(のきさき)にだけ大根ほしがおこなわれます。大根干しされた大根はつけものにします。
保存方法(漬け物)
乾燥法
@山菜がうまるくらいのふっとうした湯に入れる。 A3分プツプツしてきたら、さっと水にくぐらせ干す。
Bゼンマイが赤くなったらうら返してもむ、4〜5回。 Cからからに乾燥するまで干す。
塩漬け
@うすい塩水につける(下漬)。
A1日たってから、たっぷりの塩をまぶし、ふたたびつける(本漬)。重石をすると水が出る。
B2〜3日で水が上がるので重石を軽くする。 C塩が多いと悪くならない。
ぬかづけ
@たるにこぬかと塩をよくまぜ、野菜を漬け込む
A塩は上部によけいふる。
B押しぶたをして、重しをおき、水があがったら重しを軽くして水が上まであがっている状態にする。
浅漬け
@2%の塩でひと晩漬ける。
いぶしたくあん漬け
@干し大根に塩を入れ漬ける。 A水があがったらいったん取り出し、こぬか・焼酎・漬け汁をよくまぜ、かたさをみてこぬかをたす。 BAをたる底に入れ、大根を並べこれを繰り返し、押しぶたをし重しをする。
みそ漬け
@自家製のみそを仕込むとき、古たくあん・塩漬けのや祭を仕込みのそこに入れておくとみそが仕上がる頃にはつけあがります。
A保存漬けされた食塩の濃い野菜は流水である程度塩抜きし、水切りしてみそ底に漬けます。なすなど水分の多く含む物はかるくしぼりま ます。当座(とうざ)漬け用として、10%の塩で4〜5日間塩漬けした野菜は塩抜きしないでそのまま使う。
酢漬け
@砂糖・塩・酢・赤なんばんをまぜ、その中につけこむ A漬け液から野菜が浮かばないように押しをする。
B2〜3日で食べられる。
はりはり漬け
大根を主な原料とした酢漬け @水洗いした大根は基部を切りはなさないように4つわりにして1週間干す。
Aやや茶色になるまで干しあがったら、薄切りにし、ざるに入れて熱湯をかける。2〜3回水で手早く洗いかたくしぼる。
B容器に入れするめ・にんじん・さとう・しょうゆ・みりんなどと混ぜ、時々上下をかき混ぜる1週間から10日でたべられます。
ビール漬け
@大根はたて半分に切っておく Aビール・塩・さとう・ようがらしをよくまぜる。大根を漬ける。
B大根が浮かない程度の重石をして、3〜4日おく。
べったら漬け
@下漬けは3〜5日 A本漬けは、下漬け大根を漬け汁でよくあらい、たくあんをつけこむと同じ要領で調味料を混ぜ合わせる。
調味料は下が少なく、上に多くなるように手加減する。B重石は汁が常に中ぶたの上にしみ出る程度にします。
C10日もすると食べられます。
こうじ漬け
@米こうじでかための甘酒を作り、漬け込む
白菜漬け
@白菜を4つ割にして、塩をふりながら漬け込む 。
A1週間漬けたら白菜の水気を軽くしぼり、りんご・にんじん・するめなどを白菜の葉の間にはさみ、容器に並べていく。
B軽い重石をする。水があがったらさらに軽くする。
野沢菜漬け
@野沢菜1キロに塩45グラム A3〜4日でしんなりしたら洗う Bおけに野沢菜を並べ、しょうちゅう・しぶ柿4つ割をパラパラまく。
C野沢菜を2段ならべてはくりかえす Dかつをぶしでだしをとり、みそのすましを作る EDをCに加え、重石をする。
F水が上がったら重石を軽くする。
作ってみたい人は
新潟県北魚沼郡湯之谷村生活改善グループ協議会
TEL02579−5−2757
「おら村のごっつぉ 湯之谷村」
雪中貯蔵(雪室・ゆきむろ)
大きなかまくら?
安塚町雪だるま物産館の雪中貯蔵施設
貯蔵庫を雪でおおい、農産物や酒を低温貯蔵します。
雪国では、電気冷蔵庫がなかった時代から、農産物を雪の中で貯蔵するという雪国ならではの保存方法を活用してきました。
ロータリーシャで雪をとばしたり 壁は網ではってあって直接雪の壁になっている 今(3月)は米・大根・じゅねんじょが入っている
ブルドーザーで運んできたりする 溶けた雪はこの倉庫の下に貯蔵される これからお酒を、5月には山菜を入れます 除雪した雪をここで生かせます
貯蔵(ちょぞう)庫内の仕組み

プールの貯蔵庫を作り、間に雪を入れていきます。雪がその上に積もっていく。雪が降らなくなったらその上にカバーを掛けて溶けないようにします。貯蔵庫をおおう雪はその年の気候によって異なりますが、9月中旬まで雪があります。貯蔵庫の中は0,3度です。プールの下に雪解け水をためる貯蔵庫もあり、夏の冷房に使います。
貯蔵農産物と貯蔵効果
はくさい(パリパリ、サクカクになる) 山菜(出荷調整できる)
そばの実(夏ソバをうつことができる) 酒(年間維持費用を確保)
花の球根(採花時期を調節できる) 米(いつでも新米)
この地方の民家の雪室
木で作った物置(農機具をおいたり、そこで作業したり)を1〜2つ持っているけれど、雪が軒まであってそのまま雪のなかにうまっている状態だから、まるっきり雪室ですよその中に野菜などを貯蔵してあります。ここみたいにしっかりおおってあるわけではないから、雪解け水でぬれたりすることもあるけどもね。
くわしく調べたい人は
新潟県安塚町安塚722−3
安塚町役場
TEL02559−2−2003
新潟県安塚町樽田140
雪だるま物産館
TEL02559−5−1010
湯之谷村のグリーンファーム(大沢加工)

12月から降り始める雪は、積雪3メートル、降雪量30メートル。 雪がとけないように毛布のような布をかぶせてあります
30メートル×20メートル×4,5メートルの半地下構造の貯蔵庫

倉庫の中は気温1度:湿度90% 真夏まで鮮度が保てます
野菜の鮮度を保つにはもってこいの条件です
野菜の貯蔵
冬になると、雪で農地を耕せません。そこで、農産加工品をつくっています。加工は1日4〜10トン加工しています。年間を通して平均的に取り組むには、野菜を備蓄(びちく)しなければなりません。野菜は水分が多いので米よりむずかしいのですが、野菜の貯蔵が5ヶ月ぐらいできます。野菜は地元でとれる物だけではたりません。そこで北海道から九州、外国からも入荷しています。貯蔵(ちょぞう)しておくとかえって甘みを増すものもあります。

冷温貯蔵
野菜の他にも、おこめ・お酒・花などを保存しています。沖縄サミットに備えて、桜も貯蔵しました。ちょうどその日に花が咲くように開花調整のために利用したようです。お酒やお米は価格調整。
くわしく調べたい人は
新潟県北魚郡湯ノ谷大沢885−1
農業組合法人グリーンファーム
TEL02579−2−6807
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