生物を形作る要素 

 遺伝子にいくら生物の営みすべてが書かれているとは言えど、実際にすべてがすべてそうなるわけではありません。生物の進化の過程で、生物の遺伝情報は常に少しずつ書き換えられていったわけですが、それが起こるのは減数分裂に見たような染色体の入れ替えもありますが、それだけではありません。遺伝毒物と呼ばれる物質がありますが、これは文字通りDNAを傷つけ、生物の遺伝情報を狂わせてしまう物質のことです。紫外線などの放射線、活性酸素などがこれに当たりますが、私たちは日ごろからこうした物質からの危険にさらされています。そして、そうした物質が遺伝情報を書き換える役目を果たしたとも考えられます。また、ウィルスの感染による遺伝子の入れ替えや、物質の摂取量のバランスの変化によって活発に働く遺伝子やそうでない遺伝子が出てくることもあります。遺伝子は、こうした環境によって書き換えられ、また、発現がコントロールされているのです。つまり、生物を形作るのは、遺伝子、そして環境なのです。糖尿病などのような生活習慣病にかかわる遺伝子も見つかっていますが、もちろんそのような遺伝子を持っていても、食習慣の改善をすれば予防することができるのです。




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